アルゼンチン次期大統領=ルーラに就任式の招待状=次期外相がブラジル外相と会談=キャンペーン中と異なる言動

アルゼンチンのハビエル・ミレイ次期大統領が外相に予定しているディアナ・モンディーノ氏が26日にブラジルのマウロ・ヴィエイラ外相と会談を行い、ルーラ大統領を12月10日の就任式にミレイ氏の招待したことがわかった。26日付エスタード紙(1)などが報じている。
モンディーノ氏は26日、ブラジリアでヴィエイラ外相と会い、会談を行った。その際、ミレイ氏が書いたルーラ氏への就任式への招待状も手渡した。
モンディーノ氏は会談後、ヴィエイラ外相との会談は「友好的で素晴らしいものだった」と言い、「我々はこれまでもこれからも兄弟であり、両国がともに成長できるよう助け合いたいと語り合った」としている。
次期外相は「我々は国家と個人を切り離して考えなければならない。両国の関係をなるべく早く良い形にしなければならない」と語り、メルコスルと欧州連合(EU)との自由貿易協定の締結も急がせたいとしている。この協定はメルコスルとEUが20年かけた交渉の結果、2019年に合意に達したが、各国議会の承認などを得て正式に調印する作業がかなり遅れている。
モンディーノ氏は取材陣への発言にとどまらず、SNSでも同様の見解をヴィエイラ外相やブラジル駐在のアルゼンチン大使のジュリオ・ビテッリ氏、駐アルゼンチン・ブラジル大使のダニエル・スキオリ氏とともに写った写真を拡散して紹介するなどしていた。
一方のヴィエイラ外相も、モンディーノ氏と「レベルの高い会話ができた」と満足した様子で語っている。同外相はアルゼンチンとの関係について、「重要な相手国ということに関しては、今後も変わりようがない」と語り、メルコスルに関しても、「メルコスルを強固にしたいと言っていただいたので、こちらもそのように考えている」と語っている。
これはミレイ氏のキャンペーン時の主張とは大きく異なるものだ。同氏は大統領選のキャンペーン期間中、ルーラ氏を「汚職の共産主義者」と繰り返し批判し、ルーラ氏とは対話を行わないことや、メルコスルからの離脱、BRICSへの不参加なども宣言していた。
だが、その発言も大統領選の決選投票前あたりからトーンダウンしていた。UOLサイト(2)によると、モンディーノ氏が持参した手紙の中でも、「今、我々の国は変わろうとしている最中だ。我が国もブラジルも経済、社会、文化面などに厳しい課題を抱えているが、両国は歴史的にも地政学的にも親密な関係にある。このまま協力関係を続け、商業的にも国際的にも絆を強めていきたい」と記載。「共に政権にある間は豊かな実を結ぶ、建設的な関係を築いていきたい」とも書いていた。現在は、メルコスルに関しても変革を求めるにとどまっている。
ルーラ大統領はキャンペーン中から対抗馬のセルヒオ・マッサ氏を応援しており、ミレイ氏の当選時は祝辞を行ったが、名前を出さずに終わっていた。
ミレイ氏は19日の当選直後にボルソナロ前大統領に就任式への招待状を送っており、前大統領はタルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事などを伴って出席の意向を示している。
ヴィエイラ外相は公式に招かれた国家の首脳と個人的な招待者では扱いが違うとしているが、ルーラ大統領やジェラルド・アルキミン副大統領の就任式出席は不明としている。