COP28=ルーラがアラブ外交展開=オイルマネー投資誘致で

【既報関連】ルーラ大統領は27日から8日間の外遊を開始し、オイルマネーを求めてサウジアラビアを訪問中だ。また、カタールではガザ地区にいるブラジル人の本国送還に関する支援を要請。その後はアラブ首長国連邦で国連気候変動枠組条約締約国会議(COP28)に参加し、最終目的地のドイツでは自由貿易協定について協議すると27日付フォーリャ紙など(1)(2)が報じている。
ルーラ大統領は現地時間28日午後、ハダジ財相、ルイ・コスタ官房長官、マリーナ・シルヴァ環境相ら、大規模な閣僚代表団を率いて、最初の目的地であるサウジアラビアの首都リヤドに到着した。同国は絶対君主制で、ボルソナロ前政権の終焉以降、ブラジルへの投資拡大に関心を示している。
サウジアラビアは2019年10月に、ブラジルへ総額100億米ドル(現在の為替レートで約1兆5千億円)の投資を検討していた。貿易協議所(Camex)の最新データによると、両国間の貿易総額は年間約56億米ドルに達しているが、投資に関してはまだ最終的な合意が得られていない。
ブラジル外務省によると、今年下半期にはサウジアラビアの企業使節団がブラジルを訪れ、その見通しを広げた。ルーラ大統領は9月に開催されたG20サミットでムハンマド・ビン・サルマン王太子兼首相と会談し、石油、ガス、再生可能エネルギーなどの分野に関心を示した。
今回の同国訪問の主な目的の一つは、第3期ルーラ政権で再開された新経済活性化計画(PAC)が提供する様々な可能性を提示することである。
石油を基盤とするサウジの経済力とは裏腹に、ムハンマド氏は国際社会ではよく見られていない。米国情報機関は、18年に拷問の上、バラバラ死体とされたジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害を命じたとみている。
それでもバイデン米大統領は既に同氏と会談しており、ボルソナロ前大統領も任期初めに同氏と会談。お互いに、「兄弟のようだ」と述べて称賛する場面もあった。
ルーラ大統領はサウジアラビア訪問後に隣国カタールに向かい、30日まで滞在予定。そこでも主な目的はブラジルへの投資誘致だが、カタールはイスラエルとハマスの紛争において人質解放や戦闘休止を実現させるなど、調停者として主導的な役割を果たして周辺諸国から注目されている。ルーラ氏はガザ地区にいるブラジル人の本国送還支援を同国に求める動きだ。
二国訪問後、ルーラ大統領はアラブ首長国連邦のドバイで行われるCOP28に参加し、ボルソナロ前政権で失った気候変動に対するブラジルの信用を取り戻す意気込みだ。
その後、ドイツの首都ベルリンに向かい、オラフ・ショルツ首相との会合を通じてEUとメルコスル間の自由貿易協定締結に向けた協議を進める予定だ。