メルコスル=マクロン仏大統領が反対=EU貿易協定は先送りに

リオ市で4日、メルコスルの議長国交代前の社会サミットが始まった。6~7日は首脳会議も行われるが、議長国大統領のルーラ氏がアルゼンチンのミレイ次期大統領の就任式前に締結をと願っていたEU(欧州連合)との自由貿易協定締結は先送りされた。
3日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)によると、4~5日の社会サミットは2016年以来の対面サミットだ。ブラジルは7月の議長国就任時点で、今回の会議は対面式で行う予定でいた。今回のサミットは、8月にベレンで開催したアマゾン・サミットと同じ形態をとっている。
4日の社会サミットではジェンダーや人種、民主主義政策の維持などの議論が行われ、アニエレ・フランコ人種平等相やエドゥアルド・パエス・リオ市長、ブラジル中央統一労働組合(CUT)国際関係局のキンチノ・セヴェロ副局長らが参加。アフリカ系少数民族代表は他の加盟国からも参加し、人種差別や人種平等促進政策の推進などを話し合った。
セヴェロ氏は国際会議は労働者の権利を守る機会とも強調している。サミットには5日に帰国するルーラ大統領やハダジ財相らも加わる。
ブラジルが議長国を務めるのは今月一杯だが、20年越しの課題で、ルーラ氏が任期中の締結を目指していたEUとメルコスルの自由貿易協定は、フランスのマクロン大統領が2日のルーラ氏との二カ国間会談後に貿易協定締結に反対の意向を表明したことで暗礁に乗り上げた。貿易協定は1999年から協議され、やっと合意に漕ぎつけたもので、関係31カ国の議会とEU議会の承認後、発効する。
2日付G1サイト(3)によると、マクロン氏は協定の内容は支離滅裂でまとまりがない上、協定が適用されない製品の輸入には関税が撤廃されるが、フランスの農家や産業界に炭素排出削減努力を求めることはできない、誰にも益を与えない合意だなどと言い始めた。
フランスは2019年に合意が進んだ時も、ボルソナロ大統領(当時)はパリ協定での約束で嘘をついていたと批判。2022年のEU議会でも同じ理由でブラジルやメルコスルを批判した。2日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、マクロン氏は3年間で5億ユーロ(26・8億レアル)をアマゾン基金に供出することも約束しているが、ルーラ氏はフランスは保護貿易主義だと批判した。
3日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、ルーラ氏は同日、貿易協定が締結できなくても、欧州側の保護貿易主義が原因で、南米諸国には責任はないと発言。「合意が成立しなくても我慢して欲しい。彼らはもうブラジルのせいだとも南米のせいだとも言っていない。富裕国は協定締結を嫌ったことの責任を取るべき。私達はもはや植民地ではなく独立国で、売るべきものも持っている。私達の商品には価値があるし、独立国として敬意をもって扱われることを望んでいる」と語った。
なお、4日付G1サイト(6)によると、外交官達はまだ、協定締結への努力を続けている。