アルゼンチン=抜本的な経済改革発表=ペソ切り下げに公共事業中止=IMFからは高い評価

アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が12日、ペソの大幅な切り下げや公共事業の停止などの抜本的な改革を発表した。これは国際通貨基金(IMF)から好意的に評価されている。同日付フォーリャ紙(1)やブラジル247(2)などが報じている。
これらの政策は、12日に財相に就任したルイス・カプト氏が動画の形で発表した。同氏はマウリシオ・マクリ元大統領(2015〜19年)の時代も財相を務めていた人物だ。
現在で366ペソの公定ドルは、ほぼ120%値上がりして800ペソに設定される。その分、並行するブルードルやすべての街頭価格も上昇し、インフレとなって庶民の財布を直撃する。その悪影響を和らげるために、最貧困層向けの社会プログラム(ボルサ・ファミリア同様の制度)が拡大され、子ども一人当たりに支払われる支払月額は100%増加し、食費支援カードも50%増額する。
また、国との労働契約で1年以内のものはどれも更新されないことになる。さらに、既に予告しているように、省庁は18から9に、傘下の局も106から54にほぼ半減する。
連邦政府から地方への助成金も義務とはされず、最小限のものとなる。また、電力や公共交通機関への助成金は減額される。
新たな公共事業の入札は行わず、入札が終わっていても工事が始まっていないものは中止となる。
輸入システムを自動化されたものと入れ替え、これまでは事前に必要とされていた認証許可がいらなくなる。その代わり、輸入関税は上がることになる。
カプト財相はこれらの政策に関しての長い説明の後、「これまでも財政問題への取り組みはなされていたが、根本的な要因にはメスが入れられてこなかった。これらの対策は、慢性的なインフレや貧困に苦しむ必要がなくなるために行うものだ」と語った。
IMFはアルゼンチン政府が発表した政策について、「意欲的な挑戦」と褒め、「経済を底辺から安定させ、民間部門主導で着実な経済成長が見込める」とした。
アルゼンチンは現在、米国に対して440億ドルの負債を抱えており、10月までの1年間の累積インフレも143%に上っていた上、11~12月もさらに物価が上昇など、財政危機にある。
ミレイ大統領は10日の就任式の際にも、「金はない」と言い切り、緊縮財政を宣言していた。
現地紙報道によれば、先週の日曜日、ディアナ・モンディーノ外相は中国の呉維華特使とスワップ協定について会談し、両国が通商関係を維持する意向を表明した。ミレイ氏も習近平国家主席に書簡を送り、IMFからの融資を保証するための支援を要請したと報じられている。ミレイ氏は選挙中には中国を徹底的に批判し、国交断絶まで示唆していた。