エキセボ問題=「武力行使しない」=当事国大統領が約束=次回会談はブラジル開催

14日、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領とガイアナのイルファン・アリ大統領が会談を行った。両大統領は対立の要因となっているガイアナのエセキボ地域に関し、周辺には軍を配備しないことなどを約束した。また、この会談の続きはブラジルで行うことも決まった。同日付BBCブラジル(1)、G1サイト(2)、ウルチモ・セグンド(3)などが報じている。
今回の会談はカリブ海の島国セントビンセント及びグレナディーン諸島で行われた。会談はラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(Celac)が主催し、国連や伯国などの関係諸国からのオブザーバーも立ち会う中で行われた。ブラジルからはセルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問が参加した。
事の発端は、ベネズエラが19世紀から領有権を巡って不満を訴えているガイアナのエセキボ地域を、マドゥーロ大統領がベネズエラの領土と主張し始めたことで、ガイアナが国際司法裁判所に訴えて禁止が命じられたにも関わらず、ベネズエラが3日に国民投票を強行。国民の96%の支持を得たとして同地域をベネズエラのガイアナ・エセキバ州として併合する法案を議会に提出。8日には大統領令も公布した。
これに対し、米国が同地域でガイアナ国防軍との合同軍事演習を行うなどして支援を表明。ガイアナも国連安全保障理事会に訴えていた。
14日の会談はブラジリア時間の正午前から始まり、最終宣言が出されたのは22時頃だった。この会談では、以下のことが決められた。
まず、両国が武力を使って威嚇行為を行うことはいかなる場合においても禁止された。そして、両国の間の問題は国際協定に基づいて解決することが求められた。この協定の中には、ガイアナがイギリスから独立する直前に締結された1966年のジュネーブ協定も含まれる。ベネズエラはこの協定を無視してエセキボ併合を強行しようとしていた。さらに、両国の間で関係を悪化させるような言動は慎むようにも求められた。
さらに、ガイアナとベネズエラ両国の閣僚や専門家によるエセキボ問題に関する合同委員会を設けることも決まった。また、両国政府は軍を使った威嚇行為や軍事行為を行わないことが定められた。
そして、3カ月後をめどにブラジルにおいて、エセキボ問題についての次の会談を行うことも約束された。
この会談後、マドゥーロ大統領はSNSを通じて、「国と国とが顔を直接合わせて会合できたことを喜んでいる。ボリバル主義の平和外交にとって歴史的な日だ」と国民に伝えた。イルファン・アリ大統領もSNSで「州、司法、外交、国際問題の専門家など、今回の問題について関与していただいたすべての人々に感謝する」とのメッセージを発した。
アリ大統領は会談後の共同会見の際、この会談の中で、マドゥーロ大統領にも「エセキボ地域の領有権問題は、国連傘下の国際司法裁判所で解決すべき問題であるという姿勢を明らかにした」と語っている。
一方、メトロポレス(4)によると、ブラジル外務省も今回の会談の結果を喜び、大統領代行として参加したアモリン氏も、「引き続き両国の平和を保たせていきたい」と語っている。