下院、30年ぶりの税制改革=付加価値税で大幅簡素化=州間課税率競争廃止へ

Fonte: Agência Câmara de Notícias)[/caption]
下院で15日、税制改革のための憲法改正法案(PEC)が2度の投票の末、承認された。同PECは7月に下院が承認したものだが、上院で修正が加えられたため、下院で再承認する必要があった。これにより、後は公布を待つばかりとなった。税制改革は30年近く審議が行われてきたもので、歴史的な承認となった。同日付G1サイト(1)やアジェンシア・ブラジル(2)などが報じている。
15日付下院議会通信(3)などによれば、この税制改革の特徴は、付加価値税 ( IVA) を導入して税制の簡素化を図ることが目玉。簡素化されても減税する訳ではなく、世界最大級の付加価値税率となると報じられている。生産チェーン全体にわたる累積的な徴税を廃止、生産地でなく最終消費地で課税することにし、州間課税率競争を失くすことを目指す。今回承認されたのは基本文で、IVA税率などの詳細は年明けの議会で補完法によって規定される予定だ。
15日の下院で行われたのは、11月に上院が修正を加えて承認したことを受け、その修正点を審議し直した上での最終的な投票だった。PEC本文に対する投票結果は、1回目が賛成371票に反対121票、2回目が賛成365票に反対118票。PECの承認には308票を獲得すればよいため、問題なく承認された。
この結果を受け、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)は、「20日にも憲法改正案を制定、公布することになる」との見解を示した。また、「ルーラ氏(労働者党・PT)は国民の過半数の支持を得て選ばれた。だが、連邦議員として選ばれた人たちは行政府のような考え方の人ばかりではなく、異なる考え方を認め、共存しなければならない中で国の発展のために力を合わせた」との言葉で、この結果を喜んだ。
今回の税制改革での改正ポイントは全部で14ある、主要なものの第一は、二つの付加価値税(IVA)への置き換えが挙げられる。国税の社会統合基金(PIS)と社会保険融資納付金(Cofins)、工業税(IPI)は財とサービスへの負担税(CBS)となり、州税の商品流通サービス税(ICMS)と市税のサービス税(ISS)は物品・サービス税(IBS)に統括される。
この改正の利点は、例えば商人が工場から製品を買う場合、従来は負担していた原材料に対する税金が免除され、工場で追加された価値に対する税金だけ払えばよくなる。
この統合はすぐに実施されるわけではなく、7年間の移行期間をおいて段階的に行われるため、完全に統合されるのは2033年になる。
なお、今後は税率が法で規制されることになる。これまでは、前年の税収が悪いと自治体が独自の判断で増税する傾向が見られたが、これが抑制される。
また、基礎食料品のセット(セスタ・バジカ)を非課税とする上、収入格差の是正のため、低所得者層に対するキャッシュバックのシステムも導入される。
さらに教育や医療サービスを中心に13部門で課税負担が60%軽減され、公共交通サービスや医療機器、障害のある人のためのアクセシビリティ・デバイス、薬、Prouni(全ての人ための大学計画)などのサービス部門には非課税が導入される。
また、各種の支援拡大のために地域開発基金(FDR)も開設。年間送金額は2029年の80億レアルで始まり、2033年に400億レアルに達するまでは毎年80億レアルずつ、その後は20億レアルずつ引き上げられ、2043年には600億レアルに達する見込みだ。
ルーラ大統領は16日、税制改革が承認されたことを喜び、フェルナンド・ハダジ財相ら、尽力した人たちを褒め称え、「払える人がより多く払い、払えない人は払う額が減る。ブラジルはまだ成長する」と語った。