国際移民の日=空港滞在のベトナム人増加=難民申請者の過半数は女性

「国際移民の日」の18日、アントニオ・グテレス事務総長が連帯と人権に配慮した安全な形の移民の受け入れが緊急の課題と説く中、グアルーリョス国際空港に寝泊まりするベトナム人が急増しており、300人以上が滞留していると8日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じている。
サンパウロ州グアルーリョス空港第3ターミナルで、国への送還待ちや受け入れてくれる第3国に行く人、難民申請をしてブラジルに留まろうとする人が計358人もおり、その大半がベトナム人だった。
空港職員らによると、欧州経由でブラジルに来るベトナム人は11月末から急増中で、2日189人、3日123人などとなっている。今年の累計は693人で、最近は約150人が難民申請をするために他の場所に移された。当局では、金を受けとって国境超えを助ける組織や人物の存在や、ブラジル経由での米国入りの可能性も疑っている。連邦司法支援局が4日に同ターミナルを調べた時にいた外国人は約480人で、ベトナム人が大半を占めていたという。
6日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、従来の難民申請者は20~39歳の男性中心だったが、近年は女性や子供による申請が増加。2013~22年の場合、女性による申請が10・5%から45%に増え、15歳以下の子供の申請も6・5%から12・5%に増えている。
女性の申請者が多いのはベネズエラ人やキューバ人で、ベネズエラ人は45・9%、キューバ人は46・8%が女性による申請だった。
長期滞在申請の場合も女性の割合は34・1%から42・9%に増えた。女性の移民・難民が多い州は、サンパウロ、ロライマ、パラナ、サンタカタリーナ、アマゾナス、リオ・グランデ・ド・スルだ。
13~22年の難民申請者数上位はベネズエラ人21万52人、ハイチ人3万8884人、キューバ人1万7855人で、ポルトガルやスペイン、ドイツ、イタリアなどからの申請は減った。移民の53・1%はロライマ州パカライマに入国、定住している。
8日付アジェンシア・ブラジル(3)によれば、ブラジルでは、キューバやハイチからガイアナを経てブラジルに入る人や、アマゾン川を遡り、コロンビアやペルーとの国境のタバチンガまで行く人も見られる。タバチンガはカリブ海諸国から欧州に行く人の通り道でもあり、コロンビアで偽旅券を入手後に同市から入国、サンパウロ市を経て欧州に行く例もある。連警によると、ブラジルは国境が長く、移民や難民に紛れて入国を試みる犯罪者もいるため、取り締まりが困難だという。
18日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、気候変動や紛争などに伴うこのような移民や難民は世界中で起きており、難民を含む移住者は1・14億人に達する見込みだ。国連移住のための国際業務担当副本部長のウゴシ・ダニエルス氏によると、気候変動(地球温暖化)に伴う極端な熱波による移住者は2090年までに30億人と見られているという。
11日付アジェンシア・ブラジル(5)は、国際刑事警察機構の作戦によると、金をもらって移住を助ける人達を介した移動も含めた米州大陸での移民、難民の目的地は米国やカナダが多く、アジアやアフリカ出身者も増えていると報じている。北米を目指した人の出身国はベネズエラ、エクアドル、中国の順だった。