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ルーラがOECDに反発=低めの成長予想値発表と=公的債務増の危険指摘で

2023年12月21日

OECDの報告書にいら立ち、間違いを証明すると語るルーラ大統領(©Cana Gov)
OECDの報告書にいら立ち、間違いを証明すると語るルーラ大統領(©Cana Gov)

 経済協力開発機構(OECD)が18日、ブラジル経済は2023年初めに予想以上の成長を遂げたが、2024年は1・8%の成長となるとの予測を発表。この予測は24年は2・2%成長とする財務省経済政策局の予測以下で、ルーラ大統領が同機関の見解に異論を唱え、来年末にOECDの関係者を招待し、今回の予測が誤ったものであったことを証明すると語っている。
 来年のブラジルの経済成長率を1・8%とし、緑のアジェンダに焦点をあてた公共投資や民間企業を刺激することや、高い貿易障壁や過度に拘束された予算などの歪みの是正で、効率性と生産性の向上を目指すよう勧めたことは18日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。
 「OECD経済研究:ブラジル」は、コロナ禍沈静化以降の活動再開が予想以上であったことを肯定的に評価し、23年初頭のブラジル経済は力強く成長したが、現在は国内外の需要が弱まり、潜在的な成長に向けて収束しつつあるとした。
 また、24年は、厳しい信用状況や政界経済の減速で、個人消費と投資の成長はより緩やかになると予測。今年の成長率は2・8%、来年の成長率は1・8%との予測は、財務省の3%と2・2%という推測以下だ。
 また、中国の経済減速で、輸出の伸びが鈍化する可能性にも触れたが、それにも関わらず、24年の輸出は4%増えると予測している。
 需要低迷は経済減速も招くが、最近のインフレ鎮静化を評価し、金利が下がれば投資も増えると指摘。信用の伸びが鈍り、所得の伸びが抑えられれば、世帯所得が減り、インフレも収束としている。
 また、財政均衡法承認で経済スタッフが確信を持てるようになり、公的資金の流れの先行きも見通せると称賛。金融政策を支援する財政責任を主張し、24年の基礎的収支赤字ゼロ化などの基準順守が課題とも述べた。
 19日付コレイオ・ブラジレンセ(3)によると、アルミニオ・フラガ元中銀総裁もこの点について、政府は開発計画に支出抑制が含まれていることを明確にする必要があると述べている。
 一方、OECDの予測では、公的債務が再び増え、2047年は国内総生産(GDP)の90%に達する可能性に言及。10月現在の公的債務はGDPの74・7%だが、来年は約80%と見ている。
 これらの予測は財政の新枠組と税制改革による潜在成長率を0・5%と想定したもので、2026年以降の基礎的黒字(公的債務の利子支払い用の政府貯蓄)はGDPの1%と見ている。財政の新枠組と税制改革がなければ、公的負債は2037年にGDPと同額になる可能性があったという。
 OECDはシナリオ改善のため、社会保障制度や社会プログラムの統合などの構造改革も必要と示唆。財政新枠組では財政目標と支出制限があり、目標が達成できなければ軌道修正する仕組みがあると評価したが、予算から制約を取り除く必要性も訴えた。
 また、部品の現地調達率の高さやメキシコの約8倍の輸入関税といった障壁にも言及。環境政策を強化し、気候変動に強いインフラに投資することや、工事への民間部門の参加促進の必要も説いた。
 19日付アジェンシア・ブラジルなど(4)(5)(6)によると、大統領は報告書に強く反発。19日の公共放送では、OECDの予測が誤っていたことを示すため、来年末の朝食に関係者を招く予定だとまで語っている。


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