税制改革=連邦議会で公布記念式典=35年越しの念願叶う=ルーラ「すべての人の法」

連邦議会が20日、税制改革に関する憲法修正案を正式に制定、公布した。30年がかりの改革ということもあり、公布記念のイベントにはルーラ大統領(労働者党・PT)や最高裁長官らも列席し、公布を祝った。同日付フォーリャ紙(1)、UOLサイト(2)、アジェンシア・ブラジル(3)などが報じている。
制定式典にはルーラ氏をはじめ、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)やロドリゴ・パシェコ上院議長(会民主党・PSD)、フェルナンド・ハダジ財相(PT)、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁長官らが駆けつけた。
制定式典がこのような形になったのは、税制改革は30数年越しの悲願だったためだ。工業税(IPI)や州税の商品流通サービス税(ICMS)、市税のサービス税(ISS)などを定めた現行の税制は軍政時代の1965年から国税法として制定され始めて複雑化し、中でも州税の商品流通サービス税(ICMS)が州ごとに規制や税率が違うために、企業会計に大混乱を招いていた。民政復帰後、初めての税制改革でもある。
欧州では1960年代にこれらの税を統合する付加価値税(IVA、別名「消費税」)のシステムが出来始め、現在174カ国が採用している。
民政復帰後に現行憲法が制定された1988年には、IVAを導入しようとする提案もなされていた。だが、現行の徴税システムに慣れていた州がシステム変更に伴う混乱を恐れた。その後も様々な大統領の政権で改革を試みたが、憲法改正ができずにいた。
今回の改正はそれから35年を経て実現されたものだ。今回の改正でも、ボルソナロ前大統領の自由党(PL)をはじめとする強い反対の動きもあったが、7月に下院で承認。11月の上院でも49票必要なところを53票という薄氷の承認を得た後、今月15日に下院が、上院での修正案を賛成371票対反対121票で承認。この日の公布にこぎつけた。
ルーラ大統領は祝いの演説で、「連邦議会が主義の違いを乗り越えて、みんなで協力した結果だ」「この法には右派も左派も、人種や性別の違いなども関係ない。ブラジルの法律だ」として、一致団結が実を結んだ法案であることを強調。さらには神にも感謝を捧げ、「これが貧しい人の救済にも繋がれば」と望んだ。
IPI、ICMS、ISS、社会統合基金(PIS)、社会保険融資納付金(Cofins)を二つのIVAに統合する過程はすぐに始まるわけではない。統合は2026年から徐々に始まり、完全に統合されるのは2033年となる。
また、この税制改革を契機に地方活性ファンド(FDR)も始められることになっており、2043年に600億レアルになるよう、年毎に目標を持って積み立てることになる。
また、保健や教育部門を中心に減免税が行われるほか、貧困層を対象にキャッシュバックのシステムも導入されることになっており、来年早々には、実際に移行するために必要な詳細に関する審議も始まる予定だ。