ブラスケン=連邦警察が一斉捜査=岩塩採掘での不正疑い

【既報関連】連警が21日、石油化学大手ブラスケン社がアラゴアス州州都マセイオーで行っていた岩塩採掘での不正疑惑に関する「塩の涙作戦」を実行。3州で14件の家宅捜査令状を遂行したと同日付G1サイトなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)が報じた。
塩の涙作戦は、意図的な環境汚染や国有資源の横領、不作為を含む虚偽または誤解を招くような環境研究(データ)提示といった犯罪が行われていたとの嫌疑解明のためで、各種の書類、メールを含むメッセージ記録などが押収された。
連警はこの日、マセイオー市で同社本社を含む11カ所で家宅捜査を実施。家宅捜査は、リオ市2カ所、セルジッペ州アラカジュ市1カ所でも行われ、同社が岩塩採掘の際、鉱山の安定性と採掘現場上部(地表)に住む市民達の安全を確保するために科学文献や採掘計画が定めた安全パラメーターを守っていなかったことを示す証拠が見つかったという。
また、同社の活動を監督する責任を負う公的機関からは、虚偽のデータが提出され、関連情報が省略されていたことを示す証拠も見つかった(21日付ガゼッタサイト(8)も参照)。連警は、これにより、岩塩採掘でできた空洞の安定性に問題があり、鉱山の上の土壌で地盤沈下の兆候があっても作業を続けることができたとしている。
ブラスケンは1976~2019年にマセイオー市地下にある岩塩を採掘していたが、2018年の体感地震、建物や地面の割れ目発生を受け、19年に環境許可が停止された。ピニェイロ、ムタンジェ、ベベドウロなどのムンダウ湖周辺5地区の地下には35の採掘場があり、坑道が張り巡らされているが、18年現在も採掘が続いていたのは四つだった。
その後は、地震発生や地割れが採掘活動でできた採掘場や坑道の崩落によるものであることが確認され、地区住民の避難も始まった。
地震がより頻繁になった11月からは地盤沈下の速度も上がり、最終的に5地区の住民約6万人が避難。今月10日にはムンダウ湖の水面に採掘場の崩落と地盤に亀裂が起きたことを示す渦が生じ、湖底の地形の変化やムンダオ湖の水が坑道に流れ込んだことも確認されている。
なお、18日付アジェンシア・ブラジル(9)によれば、18日の時点では坑道への湖水流入による水質の変化(塩化)は確認されていないが、今後も観察が必要だ。
19日付エスタード紙(10)は、マセイオー市での地盤沈下や坑道崩落、上院での議会調査委員会開設は同社の売却をより困難にするとの見通しを報道。
5日付G1サイトなど(11)(12)によれば、同社は5日に持続可能性で知られる企業グループから除外された。また、15日付アジェンシア・ブラジル(13)にもあるように、15日には格付会社のフィッチが同社の格付をBB+に引き下げた。
19日付エスタード紙(10)には、2週間で株式市場での時価が27億レアル下落とあったが、21日付インフォ・マネー(14)によると、21日の株式市場では、連警の捜査にも関わらず、同社株が7・07%急騰したという。