ハダジ財相=税軽減措置停止を再提案=議会の強力な反発必至か

連邦政府が12月29日、2024年度予算の基礎的収支赤字ゼロ化という目標維持のための暫定令(MP)を官報に掲載したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)(2)などが報じた。
同MPはハダジ財相が12月28日に発表した三つの措置をまとめたものだ。同相は、17部門の税軽減措置(デゾネラソン)延長法案に対する大統領拒否権を議会が覆した時から、デゾネラソンで生じる税収減の補償措置を導入する意向を示していた。
12月28日付アジェンシア・ブラジルなど(3)(4)(5)(6)によると、これらの措置は大統領拒否権が覆されたことによる減収分の補償が目的で、給与支払い時に生じる税の段階的再負担(デオネラソン)と、イベント部門再開のための緊急プログラム(Perse)の見直し、裁判所を通じて得た控除による税金補償への制限の三つだ。
デオネラソンは、デゾネラソンの対象を給与の最初の最低賃金分のみとし、1最賃を超える額には通常通りの社会保障費の納入を義務付けるというものだ。財相によると、デゾネラソンの対象者の給与は大半が2最賃までで、給与総額の20%の社会保障費を企業収益の1~4・5%に減額することで雇用を確保しようとしたが、17部門の雇用は減少し、2011年の導入時の意向と異なっていると説明。120億レアルの減収分中、60億レアルを回復できると見ている。
Perseは新型コロナのパンデミック時の2021年に2年限定で導入されたが、2022年に5年間延長された。だが、イベント部門の回復は予想より早く、国税庁は議会が試算した5年間で200億レアルという免税額は2023年中に達成されたと判断。プログラムを維持する理由はないとし、2年間で段階的に廃止する予定だ。
財相は裁判で得た控除についても、現行法では裁判所で税額控除を取得した企業は全額を一度に相殺することができ、当該年の納税が100%免除されることも起こると説明。23年の相殺額は最低でも650億レアルで、国税庁の計画能力を損なった。財相は、1千万レアル以上の控除に対する相殺率は年平均30%に制限すべきで、金額が大きい場合は最大5年間にわたって段階的に行われるべきとしている。
なお、今回の措置は小規模自治体の社会保障費を給与額の20%から8%に減額する措置の変更は意味しない。小規模自治体へのデゾネラソン継続による24年度の減収額は250億レアルだ。
なお、通常のMPは即刻発効だが、最初の2項目は4月1日発効となる。12月28日付G1サイトなど(7)(8)(9)によると、企業家や企業家議員らはこれらの内容を不服とし、パシェッコ上院議長に大統領府にMPを差し戻すことを要請。12月29日付コンスルトール・ジュリジコ・サイト(10)のように、MPによるデゾネラソン規制は違憲との声もあり、同議長は12月30日、両院リーダーらや司法関係者の意見を聞いた上でMPを差し戻す可能性があることを示唆した(12月30日付アジェンシア・ブラジル(11)参照)。