サンパウロ市市長選=連邦政府内で候補が3分=ルーラやPTはボウロス推薦も=タバタやヌーネス推す声も

10月に行われるサンパウロ市市長選でどの候補を推すかを巡り、連邦政府内の見解が3分しており、連邦政府の基盤を揺るがす可能性が出てきていると、3日付フォーリャ紙(1)やカルタ・カピタル(2)が報じている。
ルーラ大統領をはじめとする連邦政府の中核が推す意向を示しているのは、ギリェルメ・ボウロス下議(社会主義自由党・PSOL)だ。ボウロス氏は2020年のサンパウロ市市長選で次点となっており、昨年末にアトラス・インテル社が行ったサンパウロ市市長選の世論調査でも29・5%の支持を得て、1位となっている。
ボウロス氏はルーラ氏の労働者党(PT)が結党以来はじめて、サンパウロ市市長選に自党候補を出馬させずに推薦する他党候補で、ルーラ氏も既に連邦政府のイベントでボウロス氏を推薦する言動を行い、話題となっている。
また、フェルナンド・ハダジ財相も2022年のサンパウロ州知事選に出馬した際、出馬を希望していたボウロス氏を自ら説得して出馬を断念させた折、今回のサンパウロ市市長選でPTが支持すると約束していたため、強い協力が予想されている。
だが、現在の連邦政府が一丸となってボウロス氏を推しているわけではない。連邦政府内でPT最大の連立パートナーであるブラジル社会党(PSB)は、タバタ・アマラル下議の出馬を早くから公言している。タバタ氏はジェラルド・アルキミン副大統領の肝入りとしても知られ、アウキミン氏も公の場で積極的にタバタ氏への支持を表明している。そのことに関し、ルーラ大統領をはじめPT関係者が不快感を示している。
また、アウキミン氏同様に元サンパウロ州知事で中小企業相を務めるマルシオ・フランサ氏がタバタ氏の市長選の実質的なコーディネートを行っており、人気ニュースキャスターのジョゼ・ルイス・ダテナ氏をPSBに入党させて、タバタ氏の副候補に迎える体制を作っている。
タバタ氏はアトラス社の世論調査では支持率6・2%で4位で、現状の支持率は高くないため、PTは同氏をボウロス氏の副候補にしようと動いていた。だが、タバタ氏自身がこれをすでに拒否している。
また、連邦政府の協力政党でもある民主運動(MDB)からは、同党の現職市長で再選を目指すリカルド・ヌーネス氏を支持する声も存在する。とりわけ注目されるのは、昨年の大統領選3位で、現在の連邦政府の中でも国民の人気が高いシモーネ・テベテ予算企画相の動向だ。
ヌーネス氏としてはキャンペーンでテベテ氏の支持が欲しいところだが、そのためにはテベテ氏が強く嫌うボルソナロ前大統領からの支持を得ないことが条件となる。ヌーネス氏は現在18・0%で支持率2位。ボルソナロ氏は17・6%で支持率3位のリカルド・サレス氏(自由党・PL)を推しているが、PLがサレス氏の出馬を認めていないため、党籍を移しての出馬が予想されている。
連邦政府内では、MDBの重鎮政治家の息子であるジャーデル・フィーリョ市民相やレナン・フィーリョ運輸相も、ヌーネス氏を支持している。