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小説=流氓=薄倖移民の痛恨歌=矢嶋健介 著=81

2024年1月10日

戦争勝組
 
 その時、表の玄関から、賑やかな男たちの声が聞こえてきた。
「昨日は所用で町へ行き、昼食を松原食堂で食べた。そこには三〇名ちかい人びとが集まって杯を傾けていた。聞くところでは、先日のブラジルの新聞に載っていたミズリー艦上での調印の写真は、アメリカ側の降伏だった、と言うんだ。何故なら、あの写真のアメリカ兵は何一つ武器を持っていなかった。が、日本軍は軍服にちゃんと帯刀していた。艦尾の旗は写っていないが日本の戦艦に違いない、と言うんだ。泣き悔やんでいる同胞にこの喜びを一刻も早く伝えたい。彼らの刷ったニュースを鷲掴みにして帰ってきたんだ。俺もほっとしたよ...
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