選挙高裁=システムにハッキング?=ルーラPL移籍と偽登録=現職大統領の党籍を偽装

選挙高裁は連邦警察に対し、何者かにより、ルーラ大統領(労働者党・PT)の党籍がボルソナロ前大統領の自由党(PL)に変更されていた件に関する捜査を要請した。11日付CNNブラジル(1)などが報じている。
これは11日にグローボ紙のスクープで明らかになったものだ。それによると、選挙高裁が管理している選挙システム上のデータが何者かによって書き換えられ、ルーラ大統領は、2023年7月15日付でPLに移籍したことになっていたという。システム上に登録されている政党所属履歴も、ルーラ氏は1981年から在籍してきたサンベルナルド・ド・カンポのPTを離党したことになっている。
選挙高裁はこれを見つけ、即座にこの党移籍を無効にしている。アレッシャンドレ・デ・モラエス選挙高裁長官は、「ルーラ氏がPTの創設者で名誉党首であることは、誰もが知っていることだ」とし、「イデオロギー的虚偽の明らかな兆候がある」とにらみ、連邦警察に捜査を開始するよう要請した。
選挙システム上に登録された党籍を変更する手続きを行うのは、政党の担当者だ。今回の件の場合でいくと、ルーラ氏が離党したとの政党所属履歴をPT関係者が作成したとは考えられない。
選挙高裁によると、PLに入党したことを正式に認証するために使われたパスワードは、PLの弁護士ダニエラ・レイテ・アギアル氏のものだったことが発覚している。
同高裁は党籍変更がハッキングを通して行われたことや、プログラム上の故障発生の可能性を否定しており、システムは正常に作動していたと説明している。
つまり、この党籍変更は有効な資格情報を使用して、偽の会員登録を行ったことになるという。ただ、同裁によると、複数の人間が一個人のパスワードを使ってアクセスすることは十分起こりうることだという。
PLのヴァルデマール・コスタ党首は、この件を「馬鹿げたこと」と評し、アギアル弁護士がそのようなことを行うはずがないとの見解を表明した。ヴァルデマール党首はハッキングを疑っているが、その線はもうすでに消えている。
今回の騒動に関し、ルーラ大統領、連邦政府、PTは特にコメントを発表していない。また、ボルソナロ前大統領も声明などは出していない。
選挙システムにおいてはこれまでに例がない、それも現職大統領が被害に遭う珍事事件となった。