最高裁=モロ氏捜査開始を承認=20年前の司法取引で=「犯罪者の空想」と反論

最高裁のジアス・トフォリ判事は、セルジオ・モロ上議(ウニオン)がパラナ州連邦裁判事時代に、デラソン・プレミアーダ(司法取引)で取引した容疑者に違法な情報取集や盗聴などを強要した不正疑惑に関する捜査の開始を許可した。それに対し、モロ氏は「犯罪者トニー・ガルシアによる空想だ」と真っ向から否定。同上議は現在、2022年の上議選での違反疑惑をめぐり、パラナ州選挙地域裁で上議罷免のかかった裁判を闘っている最中だ。
これは、モロ氏を訴えている元パラナ州議で企業家のアントニオ・セルソ・ガルシア氏(通称:トニー・ガルシア)が昨年暴露した、司法取引に関する疑惑の告発に基づいている。同氏の証言に基づき、連邦警察、連邦検察庁が共に捜査の開始許可を求め、トフォリ判事が捜査開始との判断に踏み切った形だ。この判断は昨年の12月19日、最高裁が年末の休暇に入る前日に行われていた。
この判断は昨年の12月19日に下され、機密指定されているため、本来は内容がマスコミに漏洩した時点で司法界が問題とすべき案件だ。ところがラヴァ・ジャット作戦時と同じく、ある特定の場合にはリークがそのままにされる傾向がある。
ガルシア氏は昨年6月、自身のSNSアカウントを通じて「自分はモロ氏の内通者だった」と主張し始めた。同氏は、パラナ州知事だったベット・リシャ氏をはじめ、裁判官や弁護士などに対して違法な盗聴、盗撮を行ったと告白。それにメディアも飛びつき、連日、大騒動となっていた。
その主張によると、ガルシア氏は州議だった2003年にコンソーシオ・ガリバルディの汚職事件で逮捕された。ガルシア氏は2004年、モロ氏が担当判事で、当時、国内最大の汚職事件と呼ばれたバネスタード作戦に関する司法取引を締結。ガルシア氏はその際、モロ氏から、不逮捕特権のある当局者たちによる「犯罪の証拠をつかむため」、非公式潜入者になり、盗聴や盗撮を行うことを依頼されたという。
この主張が報じられた際、モロ氏はガルシア氏が告発を受けた犯罪者であることを指摘し、これらの話は「作り話だ」として疑惑を否定した。だが、ガルシア氏はその際の契約書や、モロ氏との間で交わした録音内容などを公表。これに対しても、モロ氏は「違法行為の類は行っていない」と反論している。
UOLサイト(1)によると、連警と検察庁はガルシア氏の証言を基に、以下の3点を軸に捜査を行うという。まず一つは、ガルシア氏がバネスタード作戦の際に交わした司法取引に関する契約内容がどういうものだったかを調べることだ。
次は、ガルシア氏が「モロ氏に勧められた」として行っていた、ブラジル情報庁(Abin)の「ヴァギネル」なる人物との間の会話に関してだ。連警はこの人物が誰なのかを判明させる意向だ。
また、ガルシア氏の盗聴・盗撮に関する証言が、バネスタードに関与し、ラヴァ・ジャット作戦の主犯格でもあったアルベルト・ユセフ氏が行った証言と似てることに注目しているという。ユセフ氏はラヴァ・ジャットで拘束された際、刑務所内で盗聴、盗撮が行われていたと主張している。
モロ氏はこの報道後も、自身の判事時代の行動の合法性を主張している。
モロ氏は現在、パラナ州選挙地域裁判所で、2022年の上議選での規定を大幅に超過した選挙資金の運用に関する裁判にかけられている最中だ。この裁判は一審だが、最終的に有罪の場合は罷免となる可能性がある。今回の捜査開始許可はその渦中で起こったものだった。