ボルソナロ=PL党首発言に不満表明=サンパウロ市市長選などに影響か=関係者が党分裂恐れる

ヴァルデマール・コスタ党首がルーラ大統領を褒めたことで、ボルソナロ前大統領との間で気まずい雰囲気が流れ、自由党(PL)内で党分裂を危惧する声が出始めていると、16日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
事の発端は先週末、ヴァルデマール氏が地方紙「オ・ジアーリオ」のインタビュー動画でルーラ大統領のことを褒めた場面が拡散されたことだ。これはボルソナロ氏の支持者のみならず、ルーラ氏の労働者党(PT)の支持者の間でも拡散された。
ヴァルデマール氏は13日に、「ルーラ氏が優れた大統領だったことは確かだが、自分はボルソナロ氏に忠実」「前大統領のカリスマ性は格別」「私は自分の政治信念にも忠実だ。発言に矛盾はない」と弁明した。
だが、ボルソナロ氏はヴァルデマール氏に強い不満を示しており、15日にはボルソナロ氏がリオ市で同件に関して不満を表明したビデオが拡散された。ボルソナロ氏はそこで、「今週、大きな問題が起きた。誰との間であったかは言わない。もし、このような状況が続くなら、この党をぶっ潰してやる」と語った。
フォーリャ紙の報道によると、ヴァルデマール氏はすでにワッツアップを通じてボルソナロ氏に謝罪を行ったという。ボルソナロ氏はその際、「不誠実だ」と不満そうにヴァルデマール氏を責めたため、ヴァルデマール氏が「文脈を無視して発言を切り取られたのだ」と弁明したという。ヴェージャ誌によると、ボルソナロ氏の広報役ファビオ・ワインガルテン氏は、「この件ならもう過ぎたこと」と語っている。
だが、同党関係者は今回の件が10月の市長選などに悪影響を与えることを危惧しているという。
その最大の例がサンパウロ市市長選だ。ヴァルデマール氏は、当初望んだ通り、リカルド・ヌーネス市長(民主運動・MDB)の副候補に同党の党員を据えたいと考えているが、現状ではまだ具体的な候補も見えていない状況だ。他方、対抗馬のギリェルメ・ボウロス下議(社会主義自由党・PSOL)は元サンパウロ市市長のマルタ・スプリシー氏を副候補に内定させ、着々と選挙への準備を進めている。
PL側が心配しているのは、今回の件でリカルド・サレス氏(ボルソナロ政権時代の元環境相)がPLを出て、他党から出馬するのをボルソナロ氏が後押しする可能性が強まったことだ。
このように、ボルソナロ氏とヴァルデマール氏の推したい候補が異なる例はゴイアニアなどでも見られている。現状、ボルソナロ氏は市長選候補の最終決定権をヴァルデマール氏に一任しているが、今回の件でそれが乱れる可能性が出てきている。
また、今回の騒動は、従来の路線である中道セントロンの政治家に加え、ボルソナロ派の政治家を後から入れて共存させようとする党運営姿勢に無理が生じたことが原因と見られている。