豪雨被害=「環境的人種差別」と批判=経済格差で貧困層に集中

【既報関連】リオ市やバイシャーダ・フルミネンセの諸市が14~15日の豪雨で甚大な被害を受けた直後から、「環境的人種差別(racismo ambiental)という言葉があちこちで言われるようになり、この言葉を使った人種平等相が野党議員達から批判される場面も起きた。
環境的人種差別という言葉が使われた一例は15日付アジェンシア・ブラジル(1)で、記事の出だしには、リオ大都市圏北部で起き、12人の死者も出た豪雨による悲劇は、基礎的衛生施設やまともな住居などのサービスへのアクセスという点で生じた不平等を実証したとある。

「白さの観測所(Observatório da Branquitude)」のタレス・ヴィエイラ共同執行理事は、今回の悲劇は予告された悲劇で、この時期に起きると分かっていながら効果的な防止策が採られていないために起きたとし、「この人達は死ぬべき立場に放置されている」とも語った。同氏によれば、同州での悲劇は大なり小なり、起きることが分かっていても繰り返される悲劇の一つに過ぎない。15日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、国立気象観測所も、豪雨襲来は予測されていたこととしている。
16日付アジェンシア・ブラジル(3)は、アニエレ・フランコ人種平等相が14日に、リオ州での水害は「環境や気候による人種差別的影響」とし、「ファヴェーラや周辺地域は他の地区の15倍の被害を受けたというが、一部の市や地区、周辺地域、ファヴェーラが他の地域より深刻な影響を受けるのは不自然」「これは、ある自治体や州の一部が、住居や基礎的衛生施設、市街地その他で同じ条件を有していないために起きる出来事」と述べたと報じた。
16日付エスタード紙(4)によると、同相は野党議員らからの批判を浴びたが、シルヴィオ・アルメイダ人権相やマリーナ・シルヴァ環境相、ソニア・グアラジャジャ先住民族相は環境的人種差別という言葉は科学者も使う表現であることや社会階層と被害の相関性などに言及して擁護している。
16日付アジェンシア・ブラジル(3)や18日付G1サイト(5)によれば、環境的人種差別という言葉は米国の研究者ベンジャミン・フランクリン・チャビス・ジュニア氏が1980年代に使い始め、洪水や干ばつ、汚染などの環境悪化や大惨事が周辺地区住民にどの位、深刻な影響を与えるかを説明するために使われる。ブラジリア大学の都市計画家ベニー・シュヴァルスベリ氏も、「黒人や褐色人種、先住民、貧困層などの阻害された人達に影響を与える社会環境条件の悪化の過程を説明するために使う」と述べている。
週末からの風水害はバイシャーダ・フルミネンセ地区やミナス州南部、リオ・グランデ・ド・スル州などが顕著で、17日付アジェンシア・ブラジル(6)などによると、リオ・グランデ・ド・スル州では51市で洪水や倒木、家屋倒壊、断水などの被害が続出。17日夜も100万人以上が停電に悩まされた。
18日付SCC10サイトなど(7)(8)(9)などによると、18日にはサンタカタリーナ州でもサイクロンと寒冷前線による被害が出ている。
南部諸州の住民は昨年のサイクロンによる連続被害からの復興中の悲劇だ。14日付G1サイトなど(10)(11)によると、リオ州でも、今年も全てを失くしたと肩を落とす住民が多い。