ペトロブラス=汚職中断の製油所工事再開=バイオ燃料等に80億レ投資

統一地方選の票田固めのため、北東部を巡訪中のルーラ大統領が18日、ペルナンブコ州イポジュカにあるペトロブラス社アブレウ・エ・リマ製油所(RNEST)の工事再開のための式典に出席したと同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
RNESTの建設は、第1期ルーラ政権下の2005年にベネズエラの参加も得て始まった。
だが、23億ドルの予算に対し、建設から9年後の2014年までに180億ドルを費やしたが、工事は未完成。操業は同時点で始まり、建設工事は継続される予定だったが、2014年に始まったラヴァ・ジャット作戦(LJ)でペトロブラスの理事や政財界を巻き込んだ汚職が摘発され、2015年には同製油所の工事も中断された。同捜査の中で、ペトロブラス社のパウロ・ロベルト・コスタ元供給部長が司法取引の証言で、不正行為があったことを明らかにしていた。
だが、ルーラ大統領は、LJはペトロブラスの躍進を喜ばない米国の協力も得た一部の裁判官や検察官が仕組んだもので、ブラジルや国内で最も重要な企業の尊厳を損なおうとしたと批判。工事中断で解雇された従業員は呼び戻すべきとも主張した。
今回の式典は、中断された工事を再開してRNESTの規模と生産能力を拡大し、ディーゼル油などの国内生産率を高めるためのものだ。
18日付エスタード紙など(3)(4)によると、同社のジェアン・パウル・プラテス総裁は18日、同製油所では水素やグリーンエタノール、植物由来の100%再生可能なディーゼル油も生産する意向も表明。「原油は枯渇するかもしれないが、RNESTは枯渇しない」と述べた。
また、今回は既存の施設の改修と新たな施設の増築を行うが、新施設建設のための入札は終わっていないため、工事への投資額は確定しておらず、60~80億レアルとなる見込みと発表。2028年までに、現在は10万バレル/日の原油精製能力を26万バレル/日に引き上げるとも語った。
17日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、同社の投資計画自体は17日に発表されており、4年間で170億ドルを投じて施設を拡張し、低硫黄分のS10ディーゼル油の日産量を最大で40%(1300万リットル)増やすこと、同工事は経済活性化計画(PAC)の一環であること、原油の精製、輸送、販売で28年までに3万人の雇用創出が見込まれること、職能訓練や奨学金支給などの計画もあることが公表された。
19日付フォーリャ・デ・ペルナンブコ(6)は、同製油所がフル操業し始めた時の年間収益は1千億ドルに達する見込みであることや、硫黄や窒素の酸化物を販売用の新製品に変換するSNOX装置も建設中で、24年中に操業を開始する予定であることなども報じている。
ただ、19日付ネオフィード・サイト(7)は、同製油所の拡張でディーゼル油の国内調達率を100%に高めれば独占禁止法に触れるなど、現在のプロジェクトに関する難点を列記しており、今後の対応が注目される。