マリエレ殺害事件=首謀者はブラゾン元州議か=司法取引でレッサ氏名指し=本人「誰かを匿っている」

【既報関連】2018年にマリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件の実行犯として逮捕、起訴されたロニー・レッサ被告が連邦警察で殺害命令犯の一人として名前を挙げたのは、元リオ州議でリオ州会計検査院(TCERJ)参事のドミンゴス・ブラゾン氏(民主運動・MDB)であったことが、インターセプト・ブラジルが23日午前中に行ったスクープ(1)で明らかになった。
ブラゾン氏が捜査線上に上がってきたのはこれが初めてではない。メトロポレス(2)などによると、最初に出てきたのはレッサ被告が逮捕される数日前の2019年3月11日、同被告が共犯者のエウシオ・デ・ケイロス被告と交わした会話で、「ブラゾン」という苗字を口にしたのがきっかけだった。
同年には、殺害命令犯として疑われていたもう一人の政治家で当時はリオ市議だったのマルセロ・シシリアーノ氏が、ミリシア(民兵)の一人との電話の中で「ブラゾン氏が50万レアルを支払って殺害を行うよう命じた」と語った録音記録が連邦警察によって見つかり、連邦検察庁やTCE参事の裁判を管轄する高等裁判所(STJ)に回された。
2019年9月、当時のラケル・ドッジ検察庁長官は、不逮捕特権のある同氏が殺害を命令したこととTCEで勤務する元連警を使って捜査を妨害していたことを告発。TCEの参事を停職させ、捜査を連警に移管するよう要請した。ブラゾン氏は当時、大型ミリシア組織「エスクリトリオ・デ・クリーメ」との関係が報じられていたが、リオ州地裁は連警への捜査移管を拒否。移管はフラヴィオ・ジノ氏が法相となってから実行された。
だが、ブラゾン氏がマリエレ氏を殺害する動機や証拠などが弱いこともあり、これまでは捜査が進んでいなかった。
マリエレ氏の所属していた急進左派・社会主義自由党(PSOL)は予てからリオの保守派と対立していたが、ブラゾン氏は中道のMDBの所属で、過去の選挙では労働者党(PT)のジウマ元大統領やボルソナロ前大統領の両方を支持している。ブラゾン氏とつながりのあるミリシア「エスクリトリオ・デ・クリーメ」は、ボルソナロ氏の長男フラヴィオ上議と家族ぐるみで親交のあったアドリアーノ・ダ・ノブレガ氏(2020年に隠れ家に押し入った警官の手で死亡)も所属していた。
インターセプトは、マリエレ氏の上司だった元リオ州議で、下議にも当選。現在は旅行公社エンブラトゥル会長のマルセロ・フレイショ氏との因縁による説を挙げている。フレイショ氏はリオ州議だった2008年に、ミリシア議会調査委員会(CPI)で、ブラゾン氏と同氏の兄でリオ市議のシキーニョ氏がミリシアと強いつながりがあると報告していた。フレイショ氏はブラゾン氏がTCEの参事に任じられた際も、ミリシアとのつながりを理由に反対キャンペーンを行っていた。
一方、マリエレ氏は2016年にリオ市議に当選するまでの10年間、フレイショ氏の秘書を務めていた。マリエレ氏の市議選での票田となったのは、ミリシアの支配地域として知られ、ブラゾン兄弟が拠点としている地域でもあった。
24日付エスタード紙によれば、ブラゾン氏は「事実より強いものはない。私は市警、連警、検察によって調査されたが何も見つからなかった。私に不利な証拠を実際に見つけてほしい」と司法取引の証言を強く否定し、「レッサは誰かを匿っているに違いない」との推測を述べた。証言だけでは証拠として不十分であり、今後の捜査でそれが立証される必要がある。