基本金利=0・5%ポイント下げ11・25%に=今後2会合でも継続を表明

中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が1月31日、経済基本金利(Selic)を予想通り0・5%ポイント引き下げ、年11・25%としたと同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)が報じた。
この決定は全会一致で、前回会合後の中銀の発言などから市場も予測していた幅での5会合連続の引き下げとなった。
また、会合後には「予想されるシナリオが確認されれば」と前置きしつつ、少なくとも今後2会合でも同程度の幅で引き下げを続ける意向を表明。現在の0・5%ポイントという引き下げ幅はディスインフレプロセスに必要な金融収縮政策を維持するのに適切なペースだと評価しており、引き下げを中止する時期は「長期的な」経済のシナリオに依存するとも述べた。
今回の引き下げにより、Selicは2022年3月の年10・75%以来の低水準となった。当時のSelicは2021年3月からの引き上げサイクルの途中で、22年8月までの12会合連続で引き上げられた後は、2023年8月まで、13・75%で維持されていた。
Selicは金融政策の切り札とされ、インフレ抑制が必要な時は引き上げられ、インフレが鎮静化し、経済刺激が必要な時は引き下げられる。2020年から21年3月までは生産活動や消費を促すため、年2%という史上最低水準だったが、コロナ禍で生じたインフレを抑制するため、年13・75%まで引き上げられた。23年8月からは引き下げサイクルに入っている。
11日付アジェンシア・ブラジル(4)は、地理統計院(IBGE)の発表によると、昨年の広範囲消費者物価指数(IPCA)は4・62%で、インフレ目標の上限値(4・75%)を下回ったと報じた。今年のインフレ目標は中央値が3%、許容範囲は1・5~4・5%だ。
1月30日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、同日発表の経済動向予測調査「フォーカス」が予測する3・81%で収まれば、2年連続で上限以下となる。
1月31日付アジェンシア・ブラジル(6)によれば、基本金利の低下は融資やローン利用時の返済金利の低下も招くため、企業家は生産活動や設備改善などに必要な資金の借り入れがより容易になるし、消費者もローンなどを組み易くなり、高額商品や家屋などを購入する可能性が広がる。
ブラジルは経済減速時も、家計消費が景気を支え、回復を促した部分があるが、インフレ高進で低下した購買力を補う意味でのローン利用などを考える人はSelicの引き下げ継続にも期待している。ただ、貯蓄預金(ポウパンサ)は他の投資ファンドより不利になり、引き出しが増す可能性がある。
なお、1月31日は米国中銀にあたる連邦準備制度理事会(FRB)の会合も開かれ、4会合連続での政策金利据え置きを決めている。