連警=前政権中枢に捜査の手=PL党首や元側近逮捕=三男「最高裁が政治を決定」

8日、連邦警察が昨年1月8日の三権中枢施設襲撃事件に関する捜査を行い、大統領選でボルソナロ前大統領の副候補だったヴァルテル・ブラガ・ネット氏やパウロ・セルジオ・ノゲイラ元国防相、アンデルソン・トレス元法相といった元閣僚らが対象となった。また、ボルソナロ氏の所属政党の自由党(PL)のヴァルデマール・コスタ党首や元側近が逮捕され、ボルソナロ氏もパスポートを没収されるなどの波乱の展開となった。同日付G1サイト(1)(2)が報じている。
「テンプス・ヴェリタティス」と銘打たれた今回の捜査対象となったのはブラガ氏、ノゲイラ氏、トレス氏、ヴァルデマール氏のほか、元大統領府安全保障室(GSI)長官のアウグスト・エレーノ氏や元海軍司令官のアウミール・ガルニエル・サントス氏、ボルソナロ氏元側近のフィリペ・マルチンス氏など、合計24人に上った。
内、マルチンス氏をはじめとする4人がクーデターを企てようとした容疑で逮捕された。また、ヴァルデマール氏は、家宅捜査の最中に自宅から違法所持の拳銃が見つかり、現行犯逮捕された。
今回の捜査は二つのグループに別れて捜査対象が選ばれている。一つは選挙システムに関する虚報拡散に関わった人たち、もう一つは、直接的にクーデターの企画や実行に関わった人たちだ。
例えばマルチンス氏の逮捕は、同氏が22年の大統領選の結果が出た後、選挙結果を無効にする法案(ミヌタ)をボルソナロ氏に手渡した疑いが持たれたためだ。このミヌタは昨年の1月8日の襲撃事件の数日後、トレス元法相の自宅で見つかり、同法相の逮捕、長期の拘束の理由にもなっていた。
UOLサイト(3)などによると、連警は既に、ボルソナロ大統領が22年11月にそのミヌタを受け取り、そこに書かれていた「最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス、ジウマール・メンデス両判事、ロドリゴ・パシェコ上院議長を逮捕する」との文言をモラエス判事のみの逮捕に変えるよう、マルチンス容疑者に命じたことを確認しているという。
また、今回の捜査対象になった前大統領の側近の内の何人かが、同年の12月14~31日にモラエス判事に対するスパイ行為を行った疑惑も浮上している。
これに伴い、ボルソナロ前大統領はアレッシャンドレ・デ・モラエス判事から24時間以内に連邦警察にパスポートを提出するよう、命令を受けた。ボルソナロ氏はリオ州アングラ・ドス・レイスの別荘にいたが、同氏の弁護士は、SNSにパスポートは昼前に連邦直轄区の連警に提出したと投稿している。
また、コレイオ・ブラジリエンセ紙(4)によると、連警は、大統領選前に選挙高裁に対し、軍が票の集計を監査することを強く求めていたノゲイラ国防相(当時)が、22年7月の会議の席で、「目的はボルソナロ氏を再選させるため」と言い、選挙高裁を敵と呼んだ会話記録も入手している。
UOLサイト(5)によると、ブラガ・ネット氏も、大統領選後に前大統領のワクチンの改ざん記録で逮捕されたアイルトン・モラエス・バロス氏と携帯電話で交わしたメッセージの中で、クーデター計画に消極的なマルコ・アントニオ・フレイレ・ゴメス陸軍司令官(当時)を「臆病者」と罵倒したことが判明している。
前大統領三男のエドゥアルド下議は 「今日のブラジル政治は最高裁判所で決まる」とSNSで発信。前政権時の閣僚ダマレス・アウベス上院議員は 「私たちはそのメカニズムがどのように機能するかを知っている。私たちが以前そう言ったとき、多くの人は信じなかったが、今ではその通りに起きているのを目撃している。神よ、私たちの国を憐れみ給え」などと反発した。