UOL報道=ボルソナロ「情報漏らすな」=エレーノ長官発言を遮る=問題閣議映像から判明

【既報関連】連邦警察の「テンプス・ヴェリタティス作戦」で明らかになった前政権の閣議の録画の中で、アウグスト・エレーノ大統領府安全保障室(GSI)元長官が、大統領選挙中にブラジル情報庁(Abin)を使い、ルーラ氏に対するスパイ行為を行おうと提案していたことが判明。ボルソナロ前大統領はこの時、「情報が漏れる可能性がある」として発言を制したと10日付UOL記事(1)が報じた。
今回の捜査の有力な証拠の中には、ボルソナロ前大統領の元側近のマウロ・シジ容疑者の携帯電話やコンピューターに保存されていたデータが含まれている。
特に注目を集めているのは、2022年7月5日の閣僚会議の録画だ。この録画は9日、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が公開を許可したため、各メディアが一斉に内容を流した。
そこで注目された一つがエレーノ氏の言動だ。同氏はそこでGSI傘下のAbinについて触れ、「Abinの使命として、両方の側の監視をしなければならない」と発言。さらに、「形勢を逆転させるなら、選挙の前だ」と話し、大統領選挙期間中にAbinによるルーラ陣営に対するスパイ行為を行う可能性をほのめかした。
エレーノ氏はさらに、「我々は双方の行動を監視する計画をまとめるが、問題は情報が漏れた場合のことだ。Abinが告発や潜入を行ったとあらば追及される」と語り、具体的に「潜入」という言葉を使っている。
これに対し、ボルソナロ氏は、「お願いだから、ここでそういう話をするのはやめてくれ」「Abinのことなら、これとは別に我々の部屋で話そう」「漏れる、漏れないと言い始めたら漏れてしまう」として話を遮っている。
エレーノ氏の発言は、Abinがイスラエルのソフトウェア「ファースト・マイル」を使用して、1800人とも言われるボルソナロ氏の政敵にスパイ行為を行った疑いが浮上している中で見つかったものだった。
ボルソナロ氏はこの件でレコルデ局の取材に対し、「情報機関を使ったことなどほとんどない。軍にしてもAbinにしても連邦警察にしてもだ」と語った。さらに、エレーノ氏に関しても、「両方の側と言っているんだし、Abinは個人の捜査を行う権力のあるところなのだから」との見解を示した。
また、14日付フォーリャ紙(2)は、エレーノ氏がこの会議で名前をだしたAbin長官に注目している。その人物はヴィットル・カルネイロ氏で、元長官で現在は捜査の渦中にある現下議のアレッシャンドレ・ラマジェン下議の後任だ。エレーノ氏はこの閣議の中で「潜入行為に関してはすでにヴィットルにも話してある」と語っていた。ヴィットル氏は8日に行われた捜査の対象の一人だ。
ヴィットル氏は、軍の非営利機関で軍の発言に影響力を持つ団体「クルべ・ミリタール」会長のセルジオ・タヴァレス・カルネイロ大将の息子としても知られている。エレーノ氏の発言でヴィットル氏に疑惑が向けられたため、クルべ・ミリタールは沈黙を保つことを決めたと報じられている。
この録画が話題になって3日後の12日、ボルソナロ前大統領は動画を通し、今月25日にサンパウロ市パウリスタ大通りで開催する大規模な抗議運動への参加の呼びかけを行っている。