site.title

ルーラ大統領=「戦争ではなく大量虐殺」=ナチス同然とイスラエル批判=猛反発するネタニヤフ首相

2024年2月20日

エチオピアでのルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)
エチオピアでのルーラ大統領(Ricardo Stuckert/PR)

 17日、ルーラ大統領はイスラエルのパレスチナ自治区のガザ地区での軍事的な攻撃を「ジェノサイド(大量殺戮)」と称し、同国の行為をナチスと比較。国の内外で物議を醸した。18日付CNNブラジル(1)、フォーリャ紙(2)(4)、G1サイト(3)、ポデール360(5)、グローボ紙(6)、メトロポレス(7)などが報じている。
 ルーラ大統領の発言は訪問中のエチオピアで受けた取材の際のもので、取材陣から、ブラジルが15日に国際連合パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に新たな資金拠出を行うと発表したことについて訊かれた時に飛び出した。
 大統領はそこで、「ガザ地区やパレスチナの人々に対して起こっていることは過去の歴史に存在しないものだった。一つの例外を除いては。それはヒトラーがユダヤ人を殺した時だ」と語った。
 UNRWAはパレスチナ難民に食料や教育、保健、住居などの提供を行っている機関で、ガザ地区のみならず、パレスチナ自治区内のヨルダン川西岸地区、さらにシリアやヨルダン、レバノンに逃れたパレスチナ人に対しても支援を行っている。この機関に関しては、パレスチナ武装派のハマスがイスラエルに攻撃を仕掛けた10月7日以降も支援を続けている国も存在するが、米国のように、支援を打ち切った国も少なくない。
 ルーラ氏はこれに関しても、「裕福な国がパレスチナ難民への支援を打ち切っている。こうした連中の政治的な良心はどの程度のものなのか。戦争ではなく、ジェノサイドが起きているガザ地区の現実を見ようとしない人々の度量の大きさはどの位のものなのか」「兵士対兵士の戦争ではない。これは特別に訓練された軍隊と女性や子供たちとの戦争だ」と語気を強めて語った。
 これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は18日、X(旧ツイッター)で「ブラジルの大統領の発言は恥ずべきで深刻」「ホロコーストを矮小化し、ユダヤ人とイスラエルの自衛権を傷つけようとするもの」「600万人ものユダヤ人を虐殺したナチスと我々を同一視した。反ユダヤ主義の中でも最も毒性の強いイスラエルの嫌い方で一線を越えた」と強く批判し、同国駐在のブラジル大使召喚の意向も示した。
 ルーラ氏の発言はブラジル国内でも物議を醸した。ユダヤ系移民の子孫で、過去に何度も大統領選出馬が取り沙汰されたテレビ司会者のルシアノ・フッキ氏は18日、ルーラ氏の立場は「平和に貢献しない」とし、「ルーラ氏が自分の立場を考え直し、今日のユダヤ人がかつてのナチスを反映しているという周囲の反ユダヤ主義の声を黙らせていただきたい」と怒りをあらわにした。
 また、ボルソナロ前大統領の支持政治家からも反発が大きく、18日の時点でビア・キシス下議やカルラ・ザンベリ下議(共に自由党・PL)ら、7政党の連邦議員40人が大統領罷免の請求書に署名を行っている。
 左派でも、10月の聖市市長選への出馬が有力視されているタバタ・アマラル下議(ブラジル社会党・PSB)が、「ルーラ氏の発言は間違っており、無責任だ」と批判した。
 だが、連邦政府はルーラ氏の発言を「暴力に対するブレーキ」「ガザ地区の平和を願ってのもの」と解釈。セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問もネタニヤフ首相の発言に対し、「ばかげている。孤立するのはイスラエルの方だ」とルーラ氏を擁護している。
 イスラエルのガザ停戦は国連でも昨年10月から求められ続け、ガザ地区では135日間で1日平均139人の子供の犠牲者が出ているとの統計も存在する。
 また、南米では、チリやコロンビアが昨年10月にイスラエルからの大使館引き上げの検討も行っている。


法相=連邦刑務所の警備強化=潜伏脱獄犯を厳重包囲前の記事 法相=連邦刑務所の警備強化=潜伏脱獄犯を厳重包囲【19日の市況】Ibovespaは薄商いの中12万9000ポイントに0.24%上昇次の記事【19日の市況】Ibovespaは薄商いの中12万9000ポイントに0.24%上昇
Loading...