IBGE=収入の地域格差歴然=首都は北部州の2・5倍
全国家庭サンプル調査(Pnad)継続版によると、2023年の国民1人あたりの世帯所得は945~3357レアルの幅があり、全国平均は1893レアルだったと、地理統計院(IBGE)が発表したと2月28日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)(3)(4)(5)(6)が報じた。
1人あたりの世帯所得は世帯全体の収入を構成員数で割ったもので、仕事からの収入や年金、家賃などの全ての収入が対象となる。構成員にも、年金受給者や家事労働者、その親族など、全ての居住者が考慮される。
同調査によると、1人あたりの世帯収入が最も多かったのは連邦直轄区の3357レアルで、最も少なかったマラニョン州の945レアルとの間では255%もの差があった。

連邦直轄区住民1人あたりの世帯収入は全国平均よりも77%多く、2022年の2913レを15%上回った。Ibmac大学のジルベルト・ブラガ教授によると、連邦直轄区の1人あたりの世帯収入が多いのは、首都には民間部門の平均を上回る報酬を得ている公務員が大勢いるためだという。
また、他の都市では最低賃金の相対的な比重が大きく、主要な報酬基準として使われているが、公共サービスでは採用試験を経て採用された職員の給与は最賃以上の額で始まる傾向があり、同区の平均を押し上げていると説明している。
ただし、連邦直轄区は地区毎の差も大きく、28日付G1サイト(4)によると、60%以上の世帯が20最賃以上の収入があるラゴ・スル地区住民と、40%以上が1~2最賃というソル・ナセンテ地区の住民の1人あたりの世帯収入は、1万979レアルと915レアルと、1万レアル以上の差がある。
連邦直轄区以外で1人あたりの世帯収入が全国平均を上回った州と額は、サンパウロ州2492レアル、リオ州2367レアル、サンタカタリーナ州2269レアル、リオ・グランデ・ド・スル州2304レアル、パラナ州2115レアル、マット・グロッソ・ド・スル州2030レアル、ゴイアス州2017レアル、マット・グロッソ州1991レアル、ミナス州1918レアル、エスピリトサント州1915レアルで、いずれも南部、南東部、中西部に属している。
換言すれば、北東部と北部の16州は全国平均を下回っている。16州では1500レアル台3州、1400レアル台1州、1300レアル台3州、1200レアル台2州、1100レアル台5州、1千レアル台1州で、945レアルのマラニョン州は全国平均のほぼ半分、連邦直轄区の29・2%だった。
2022年の1人あたりの世帯収入は1625レアルで、23年は16・5%増えた。これは、失業率低下などにみられる雇用状態の改善や、生活扶助の増額なども影響しており、インフレ調整後も実質増となっているが、地域や地区の格差は依然として大きい。貧困や不平等などの問題に取り組む国際的な連合体のOxfamがまとめ、1月14日付CNNブラジル(7)が報じた報告書で、1%の人に63%の富が集中していると指摘された格差社会は余り変わっていないことが別の形で示されたようだ。
(2)https://www.poder360.com.br/economia/renda-per-capita-do-brasil-foi-de-r-1-893-em-2023/ 28日
(5)https://ultimosegundo.ig.com.br/brasil/2024-02-28/renda-per-capita-em-2023-ibge.html