左派と現職候補引分け=サンパウロ市市長選世論調査で=伸びしろ目立つ中道左派

4日に発表されたサンパウロ市市長選に関する世論調査で、左派ギリェルメ・ボウロス下議(社会主義民主党・PSOL)と現職の右派リカルド・ヌーネス市長(民主運動・MDB)が実質的に引き分けたことが明らかになった。決選投票での3位候補の身の振り方にも今後の注目が集まりそうだ。同日付CNNブラジル(1)などが報じている。
これはリアルタイム・ビッグデータ社が1~2日にサンパウロ市民2千人を対象に行ったもので、それによると、ボウロス氏は34%を獲得して1位だった。それに対し、ヌーネス氏は29%で2位だった。この両者で一騎打ちとなる可能性を示す結果は過去の世論調査でも同様だった。
以下、中道左派タバタ・アマラル下議(ブラジル社会党・PSB)が10%で3位、市民政治団体「ブラジル自由運動(MBL)」の政党化を準備中のキム・カタギリ下議(ウニオン)が6%で4位、ケルモン牧師(民主刷新党・PRD)とマリーナ・エレナ氏(ノーヴォ)が各々1%ずつで、5、6位だった。
今回の調査ではボウロス氏とヌーネス氏の差が詰まった状況となっているが、その背景にはボルソナロ前大統領(自由党・PL)がヌーネス氏を支持する意向であることが先月明らかになったことがある。前大統領はヌーネス氏の副候補に軍警退役大佐のリカルド・メロ・アラウージョ氏(PL)を推薦している。
今回のアンケートでも、ボルソナロ氏の支持者の56%が「ヌーネス氏に投票する」と回答。一方、早々と支持宣言が行われていることもあり、ルーラ大統領の支持者の69%はボウロス氏に投票すると答えている。
その傾向は候補者名に、ボルソナロ政権で環境相を務めたリカルド・サレス氏(PL)が加わったシミュレーションではかなり顕著だ。その場合、サレス氏が12%で3位になっているが、ボウロス氏やタバタ氏の支持率に動きがないのに比べ、ヌーネス氏は20%まで落ちる。ただし、現状ではサレス氏はPLから出馬する見込みがほとんど無く、選挙前までに他党からの出馬を決めなくてはならない。
今回の調査では決選投票のシミュレーションも行われており、ヌーネス氏が40%、ボウロス氏が38%で、ヌーネス氏が僅差で上回るとの結果が出たが、誤差の範囲内の引き分けになっている。ただしアウキミン副大統領がルーラ大統領を裏切ることは現時点では考えづらく、3位のタバタ候補が決選投票でボウロス側に回れば一気に勝負が決まる可能性があるとささやかれている。
ボウロス氏、ヌーネス氏共に気になるのは、拒絶率の高さだ。市民の46%がボウロス氏、38%がヌーネス氏には投票しないと主張している。拒絶率が最も高いのは、2022年の大統領選の討論会で不可解な言動が目立ったケルモン牧師の60%だった。
そんな中、タバタ氏のデータに注目しているメディアが少なくない。ジェラルド・アルキミン副大統領(PSB)の推す同氏は、拒絶率が22%と候補者の中で一番低く、「もしかしたら投票するかもしれない」と答えた人が最多の41%あった。
フォーリャ紙(2)やエスタード紙(3)などは、タバタ氏が票を伸ばすため、副候補に人気ニュースキャスターのジョゼ・ルイス・ダテナ氏を確定させたいところとしている。
副候補は、ボウロス氏が元サンパウロ市市長のマルタ・スプリシー氏で確定済みだが、ヌーネス氏はボルソナロ氏の推すメロ氏が有力ながらも、聖市議会議長のミルトン・レイテ氏(共和者・RP)など、他に3人の候補者がいるという。