デング熱=患者数75日間で昨年越え=サンパウロ市も非常事態を宣言

【既報関連】保健省の集計によると、15日現在のデング熱の疑似症患者数は168万4783人で昨年の疑似症患者総数(166万人)を超えたと16日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。
疑似症患者数は75日間で昨年の総数を超え、昨年同期の5倍だが、死者は513人で昨年の総数の1094人には及んでいない。ただ、死因確認中の死者も903人おり、予断は許さない。
また、人口10万人あたりの疑似症患者発生率が500人超の連邦自治体は9に増えた。内訳(発生率と疑似症患者数)は、連邦直轄区5043・8人(14万2086人)、ミナス州2809・1人(57万6949人)、エスピリトサント州1730・2人(6万6325人)、パラナ州1375・9人(15万7450人)、ゴイアス州1337・0人(9万4331人)、リオ州804・5人(12万9163人)、アクレ州783・5人(6503人)、サンパウロ州694・3人(30万8405人、サンタカタリーナ州634・8人(48307人)だ。
17日付アジェンシア・ブラジル(3)によると、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)健康科学技術情報通信研究所(Icict)の気候と健康観測所のクリストヴァン・バルセロス氏は、今年は同病が一般的ではなかった南部と中西部で感染が拡大中と警告している。同氏によると、昨年~今年のデング熱発生率が最も高い地域と内陸からセラード地域に入った熱波や気温の異常は一致している。発生率の高さと気温異常の関係は、2000~20年のデータでも確認されたという。
具体的には、サンタカタリーナ州とパラナ州、サンパウロ州の西部を覆うセラード地域と、ゴイアス州、マット・グロッソ・ド・スル州並びにミナス州の大部分では非常に高い熱波が3日以上続いたと指摘。気温異常が頻繁に起きている地域では夏の間にデング熱が爆発的に増えているが、この傾向は20年以降続いているという。
これらの地域のデング熱発生率はさほど高くなかったが、異常な暑さが5日間もあり、平年の平均気温を上回る暑さが20~30日間続いていることが蚊と人の移動の両方によるデング熱の感染拡大を招いたという。
また、サントスからフォルタレーザに至る海岸部でのデング熱流行は例年のことだが、標高約1千メートルで、夜は寒く、夏が短い上、干ばつも起きる連邦直轄区での大流行や昨年9月からの患者増加は過去に事例がないという。
また、干ばつや洪水などの異常気象の発生増と、セラードなどでの森林伐採や森林焼失、牧草地への転換などの環境悪化も暑い日や気候異常の頻度増加の原因で、夏が長く、雨が増え、気温が高くなればデング熱の季節も増加と警告。デング熱患者は通常、4月以降減り始めるが、現在の発生率は非常に高く、内陸部などでは5~6月にピークが生じ得るため、流行長期化の可能性ありと警鐘を鳴らしている。
なお、18日にはサンパウロ市もデング熱による非常事態を宣言。17日現在の同市のデング熱患者(確認済み)は4万9721人、死者は少なくとも11人で、患者発生率は10万人あたり414人だ。同市ではデング熱用ワクチンの配布を求める4度目の書状を保健省に送る一方、市内78カ所のAMAの対応時間を22時まで延長。殺虫剤散布用の車両も30台を追加稼働させた。