人間開発指数が89位に=教育や格差是正が困難で

国連開発計画〈UNDP、ポ語Pnud〉が13日、ブラジルの人間開発指数(HDI、ポ語IDH〉は0・757から0・760に上昇したが、ランキングは二つ低下し、193の国、地域で89位となったと発表したと同日付G1サイトなど(1)(2)が報じた。
HDIは0~1で表現され、1に近いほど良い。HDIは平均余命や新生児や乳児の死亡率、就学年数や識字率、収入などのデータを基に算出される。今回発表された指数は22年に収集されたデータに基づいている。
22年のHDI上位国はスイス、ノルウェー、アイスランドで、南米ではチリ44位、アルゼンチン48位、ウルグアイ52位と続く。
22年のHDIは2020年の0・758(84位)より上だが、2019年の0・764には及ばない。それでも世界平均の0・739は上回っており、一応、HDIは高いとみなされている。
国連によれば、ブラジルのパフォーマンスを妨げる要因には、公共政策を継続することの難しさが含まれるという。その一例は教育におけるパフォーマンスで、就学年数の平均8・2年間は、21年とほとんど同じだ。ブラジルの基礎教育期間は読み書き開始から高校卒業までの最低12年間だから、高校に進学しない人や高校中退、果ては小中学校さえ終えていない人が相当数いることがわかる。11日付アジェンシア・ブラジル(3)は基礎教育課程を終えていない青少年が1千万人いるとし、18日付G1サイト(4)は4歳で幼稚園に入り、17歳で高校を卒業する人は41%と報じている。
ブラジルのHDIはUNDPによる統計が始まった1990年からの22年間で22・6%伸びた。この間でHDIが前年を下回ったのは、2015年と20年、21年だけだ。
UNDPは、パンデミック以降、富裕国と貧困国との間のHDIの差は拡大傾向にあり、1990年から続いていた格差縮小傾向が覆っていることも指摘(14日付アジェンシア・ブラジル(5)参照)。
不平等や社会正義などの問題に取り組んでいるOxfamブラジルの計画・指数・キャンペーン担当マネージャー、マイテ・ガウト氏によると、ブラジルは2015年以降、経済的に困難な時期を過ごしていたが、コロナ禍で状況が悪化した。
一例は飢餓状態にある人の数で、パンデミック下では1990年代と同水準の3300万人に増えたため、社会的保護への投資を増す必要に駆られて投資衰退プロセスを実行したが、緊急支援金や生活扶助(アウシリオ・ブラジルやボルサ・ファミリア)のような所得移転政策でも、HDIを以前の状態には戻せていない。同氏は、所得移転政策後も多くの家族は最低限の食料供給を維持できない状態にあるとし、金額と共に、物価の動向や失業率、雇用安定など、全体の動きに目を向ける必要があると強調した。