潜在可能性高い果実生産=在来種改良と外来種導入で

在来種の品種改良と外来種導入が両輪となって、ブラジルの果実市場の潜在的生産力に注目が集まっていると13日付グローボ・ルラル(1)が報じている。
サンパウロ州のルイス・デ・ケイロス農業高等学校(Esalq)のセヴェリーノ・マチアス・デ・アレンカール教授によれば、ブラジルは地球上で最も多様な果物原種を持ちながら、それを十分に活用していない。「マッタ・アトランチカ(大西洋岸森林)だけで2千種類以上の原生果実を持っていると外国で話すと、誰も信じない。欧州と北米では新品種発見の可能性はほぼ枯渇状態」と指摘。
同教授によれば、ブラジル人が最も消費する20種類の果実のうちゴイアバ、パッションフルーツ、パイナップル、カシューのたった四つだけが原生種であり、それ以外は外来種だが、この原生種のポテンシャルすら十分に活用されていないという。
2012年の調査開始以来、研究者らは11種類の種を特定した。これにはカンブシなど、昔からごく一部地域でのみ愛好されてきた「忘れられた種」も含まれており、マッタ・アトランチカの原生地域のほぼ9割が伐採されたため、絶滅の危機に瀕している種もあり、私設コレクションからしか資料を入手できなかったという。
ブラジル在来種苗生産者協会のロドリゴ・シリエロ会長は「例えば、アグロフォレストリー(森林農法)プロジェクトがこの需要を刺激している」と強調する。同農法では家族農業による少量生産でも採算が取れるため、同氏の推定によればこの5年間で40%もの伸びを示している。
その結果、バナナ、メロン、オレンジ、スイカ、マンゴーという大規模な5大輸出果物に加えて、小規模生産も定着しつつあり、遺伝子改良研究とサプライチェーンの構築、需要の高まりがより多様な新しい果実栽培を刺激する背景となっている。
ブラジル農牧調査研究公社(EMBRAPA)などの研究機関は、気候変動に耐える品種や地域特性に適した品種を開発・導入している。これにより国内の果物生産者は、市場需要に応えるために多様な選択肢を持つようになった。EMBRAPAはアマゾンの在来種であるクプアスとガラナのほか、ネクタリン、モモ、イチゴ、バナナ、ブラックベリーなどの外来種を含む新品種を開発している。
例えば、EMBRAPAが外来種ピタヤ(ドラゴンフルーツ)の品種改良をし、セラード地域(ブラジル中部のサバンナ気候地帯)の生物多様性に基づいた五つの新品種を2020年以降に発表したことで、現在は国内の幅広い地域で栽培が行われている。
このような状況から、ブラジルの果物市場は今後も成長が見込まれており、さらに新しい品種や栽培方法の導入が進み、国内市場と国際市場の両方で競争力を高めることが期待されている。このような取り組みを続けることで、ブラジル果物産業は将来にわたって持続可能な成長を実現すると、専門家らは強調した。