ボルソナロ=リオ市で抗議活動行う=壇上でマスクを大絶賛=ガザ問題でルーラ批判も

21日、リオ市コパカバーナ海岸でボルソナロ前大統領(自由党・PL)が抗議活動を行った。ボルソナロ氏は現政権を批判し、昨年1月の三権中枢施設襲撃事件で逮捕、起訴されている人達への恩赦を求めた上、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事への批判で話題となっている米国企業家イーロン・マスク氏を褒め称え、注目を集めた。同日付G1サイト(1)やUOLサイト(2)が報じている。
抗議活動は午前8時頃からコパカバーナ海岸の第4ポストと第5ポストの間で行われた。
壇上ではボルソナロ氏にゆかりのある人たちが次々とスピーチを行った。最初に話したのは前大統領夫人のミシェレ氏で、今年が市長選で重要な年になること、政治の世界で女性が男性を支えることの重要さなどを訴えた。
今回の抗議活動では、SNSプラットフォーム「X」の経営者で「表現の自由」を唱えるマスク氏を讃える論調も目立った。ネット上での過激な言動で知られ、モラエス判事のネット犯罪者捜査の対象ともなっているグスターヴォ・ガイエル下議やニコラス・フェレイラ下議(共にPL)は共に、「表現の自由に救世主が現れた」とマスク氏を讃えた。
ボルソナロ氏の抗議活動でのスピーチではおなじみの福音派大物牧師シラス・マラファイア氏はこの日、最も過激なスピーチを行った。同氏は他の人が口にするのを避けた最高裁の名を出して攻撃を行い、「法衣を着た独裁者」とモラエス判事を批判した。同氏はさらに、ロドリゴ・パシェコ上院議長や軍司令官を「臆病者」と罵倒し、物議を醸した。
ボルソナロ氏は午前11時26分に最後の講演者として壇上に上がり、30分ほどのスピーチを行い、マスク氏のことを讃えた。「2022年にマスク氏と会った時、周囲の人は私のことを(愛称でもある)『ミット(伝説)』と呼び始めた。だが今、マスク氏こそ自由のミットだ」と発言した。
ボルソナロ氏はガザ問題を持ち出し、ルーラ大統領の批判を展開。「(テロの被害にあった)イスラエルを支持せず、ハマスを支持した」と攻撃した。
前大統領は集会前の1週間、今回のデモは聖市での集まりの続きで、民主主義の擁護とクーデター草案に要約される伯国史上最大の虚報について語るためとSNSで訴えており、2月の聖市パウリスタ大通りでのデモの時同様、三権中枢施設襲撃事件の襲撃者への恩赦を求めた。だが、22年の大統領選に関しては「もう終わったこと」とトーンを弱めた。これは、フレイレ・ゴメス元陸軍司令官やカルロス・バチスタ元空軍司令官が司法取引で、大統領選後にボルソナロ氏自身が選挙結果を変え得る法案(ミヌタ)を見せたと証言したことがあり、事態悪化を避けようとしたのではないかと見られている。
この日のデモに集まった人数は報道によってやや異なるものの、3〜4万人と見られている。この数は、20万人近くが集まったとされる2月の聖市での集会や、大統領選直前の2022年9月の独立記念日にリオ市で行われた9万人を集めたものに比べると規模が小さい。
一方でマスク氏は21日、X上で「グローボ局はいくらほどで買えるの?」と発言し、ブラジルメディアへの進出への興味をほのめかしている。他方、モラエス判事は19日、「ブラジルの主権が脅かされている」と、マスク氏への警戒を思わせる発言を行った。連邦総弁護庁のジョルジェ・メシアス長官も同日、マスク氏に対し、「わが国のメディア法はより厳しくなるだろう」との声明を出している。