ルーラ=議会との駆け引き白熱=上院議長と今週直談判=税軽減処置や爆弾法案

税軽減措置(デゾネラソン)などで、連邦政府と連邦議会との間の摩擦が増す中、ルーラ大統領(労働者党・PT)は今週中にもロドリゴ・パシェコ上院議長(社会民主党・PSD)との会談を行うと見られていると4月30日付G1サイト(1)が報じている。
連邦政府と連邦議会の間の摩擦がこのところ増している。ルーラ大統領は先週も、アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)と会談。それはシキーニョ・ブラゾン下議の拘禁延長を巡ってアレッシャンドレ・パジーリャ大統領府渉外室長官と対立し、その反発から、連邦政府に不利な法案の審議を下院で始めるのではないかとの噂が立ったためだった。
また、その矢先に最高裁のカルロス・ザニン判事が連邦総弁護庁(AGU)からの要望に応え、17分野の企業や小規模の市に適用されていたデゾネラソンの2027年までの延長を差し止めた。これにより、昨年からデゾネラソンに強く反対していたルーラ大統領の意向通りとなったが、上院では「議員の意向を無視した」として反発が高まっていた。
この会談での最優先課題となるのはデゾネラソンだ。ザニン判事の判断は最高裁の全体審理にかけられたが、ザニン判事に有利な状態で投票が中断され、司法判断は有効のまま保たれた。仮に再開されても、撤回は困難な状況だ。
その上、ハダジ財相がフォーリャ紙(2)のインタビューで「連邦議会も財政責任を負うべきだ」と発言し、上議らの強い反感を買っている。
ハダジ財相は4月29日、「連邦議会との対話は非常にうまく行っており、パシェッコ議長は引き続き同盟者」と語る一方で、デゾネラソンが受けられなくなる分野の企業に対する段階的な代案を提案し始めようとしている。同財相は財政確保の必要性を改めて主張し、「財源が得られなければ3年以内にまた年金改革を行わなければならなくなる」(3)とも語っている。
連邦政府にはデゾネラソン以外にも危惧している要素がある。それは、保守派が推進する「薬物所持の刑罰化」や別名「キンケニオ」と呼ばれている憲法改正法案(PEC)など、ルーラ政権が嫌がる法案の審議を上院が進めようとしているからだ。
キンケニオ(4)は、裁判官や検察官、州や市も含めた会計検査官、連邦警察や連邦道路警察の警察官、AGU構成員、州や連邦直轄区の司法官などに対し、5年毎に5%の給与調整を行う法案だ。連邦政府は予てから、この法案に全面的に反対しているが、同法案は既に、上院の憲法司法委員会で承認済みだ。同法案原案は裁判官と検察官、司法官のみを対象としていたが、委員会審議の過程で対象が拡大。承認されれば2026年までに820億レアルを要する可能性が出てくる爆弾法案だ。
会談では「州による負債の再編成」や「議員割当金」も話し合われる見込みだ。前者では、2025~30年にかけての返済利子を低く抑える代わり、州側には高校課程の技術校入学者増加などの教育への投資が求められているが、それを他の分野に変えることを希望している州がある。
後者は、連邦議会が560億レアルの議員割当金を求めたのに対し、ルーラ氏が200億レアル分に拒否権を行使し、360億レアルまでしか認めなかったことに関する交渉だ。
大統領拒否権に関する審議は税制改革に関する規制法案提出などで延期された(5)が、政府が早期承認を望んでいる車の強制保険復活法案審議も延期されるなど、政府と議会の駆け引きが続いている。