ルーラ=「ボウロスに投票を」演説=選挙法違反で罰金の可能性=ヌーネス陣営ら訴えの構え

メーデーだった1日、ルーラ大統領(労働者党・PT)は恒例となっているサンパウロ市での労組の大会に出席し、演説を行ったが、選挙期間前にも関わらず、サンパウロ市市長選候補のギリェルメ・ボウロス下議(社会主義自由党・PSOL)の横に立ち、「彼に票を」と呼びかけ、物議を醸した。同日付アジェンシア・ブラジル(1)やG1サイト(2)が報じている。
サンパウロ市東部にあるサッカークラブ、コリンチャンスの本拠地、イタケロン・スタジアムの駐車場で行われた大会は、中央労組(CUT)が中心となって開催された。参加者は多くはなかったが、参加者が所属する労組団体の大きな旗を振る姿が目立っていた。
今年のテーマは「より公正なブラジル」で、所得税のシステム見直しや、同じ職種における男女の給与格差の是正、定年退職者の尊厳などが議題となった。
この日の大会にはルーラ氏の他、ジェラルド・アルキミン副大統領、ルイス・マリーニョ労働相、アニエレ・フランコ人種平等相らも参加している。
ルーラ大統領は会場に着くと、コリンチャンスのアウグスト・メロ会長やコリンチャンスにゆかりのある元選手たちからの歓待を受け、壇上に立った。
大統領は「インフレは弱まり、給与は上がり、労働手帳に記録された正規雇用者の数も増えた。今日、5月1日からは月収2864レアル以下の人は所得税を払う必要がない。我々は非課税枠を5千レアルまであげたいと考えている」「連邦議会とはうまくいっている。連邦政府から出した法案は承認されている」「エリートらに、彼らが生み出した停滞を溶接工が修繕できることを証明するために戻ってきた」などと語った。
だが、こうしたメーデーのテーマ以上に話題を集めたのが、ボウロス下議への市長選での票の呼びかけだった。ルーラ氏は壇上でボウロス氏を紹介し、「この若者はこの国や州、市の困難に立ち向かい、聖市で本当の戦いに挑もうとしている。1989年以降のあらゆる選挙で私に投票してきた人たちが団結すれば、負けるはずなどない」として、ボウロス氏への投票を呼びかけた。
選挙法によれば、今年の選挙運動は候補者の登録締め切り直後の8月16日から正式に開始される。それ以前に投票を呼び掛けることは「早期選挙宣伝」違反とみなされ、罰金が科される可能性がある。だがルーラ氏の盟友である弁護士マルコ・アウレリオ・デ・カルヴァーリョ氏は、このルーラ演説は「表現の自由の行使」に該当するので選挙宣伝ではないと反論している。
これを受け、ボウロス氏との一騎打ちが予想されている現職のリカルド・ヌーネス市長所属の民主運動(MDB)は、ルーラ氏に関して、「選挙は戦いではなく、犠牲者が出るものでもない。サンパウロ市民にとって必要なのは公正な選挙と建設的な議論だ」とし、選挙法を破ったルーラ氏とボウロス氏に関し、法的手段に訴えることを示唆している。市長選候補者の中ではマリーナ・エレナ氏(ノーヴォ)も訴える準備をしている。
この日の大会には、ヌーネス市長や同市長を支持するタルシジオ・デ・フレイタス・サンパウロ州知事(共和・RP)は参加していなかった。
メーデーの集会の様子はユーチューブの大統領公式チャンネルで生放送されていたが、ルーラ氏がボウロス氏に票を投じるように求めた瞬間は別の映像に切り替わっていた(3)。