リオ州=オロポーチ熱患者が10人=輸入型か否かを調査中

【既報関連】リオ州保健局が4月29日、州内各地で10人がオロポーチ熱に感染していたことが確認されたとの報告を受け取ったと4月30日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
4月9~18日にジャペリ、ヴァレンサ、ピライー、リオの各市で疑似症患者として登録され、ノエル・ヌテルス中央ラボラトリーとオズワルド・クルス財団(Fiocruz)によってオロポーチ熱への感染が確認されたのは10人で、今後は、輸入型か域内感染かの確認を行う予定だ。
オロポーチ熱はオロポーチ熱ウイルスによって起きる感染症で、ブラジルでは1960年に最初の症例が確認された。通常は、ネッタイシマカの20分の1といわれ、北部ではマルイムとも呼ぶ小型のヌカカを介して感染。これまでの感染例はアマゾン地域在住者や同地域を旅行した人のみだった。
オロポーチ熱は高熱や頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒、発疹など、デング熱とよく似た症状を呈し、吐き気や嘔吐も伴うこともある。オロポーチ熱ウイルスには特別な治療法やワクチンがなく、鎮痛剤や解熱剤による対症療法が行われる。
リオ州では2月29日にもリオ市南部に住む42歳男性の感染が確認されているが、男性はアマゾン地域に旅行しており、輸入型と判断された(3月2日付弊紙サイト(2)参照)。保健局は感染者の旅行歴などを確認中だが、感染地域への旅行歴がない人がいれば、ヌカカ以外の蚊も媒介する証拠となり、医療現場を含めた対策や指導が必要となる。
今年は、1月1日から2月22日までの間にアマゾナス州で昨年同期の約3倍にあたる1398人の感染が確認されたり、アクレ州でも同病感染が疑われる症例報告が出るなど、2月時点でオロポーチ熱流行が懸念される状況にあった。
昨年全国で確認された同病患者773人の99%は北部に集中していたが、過去の感染例はないものの、蚊が媒介するデング熱は早い時期に流行状態が宣言されたリオ州で相当数の感染が確認されたことは、新たな懸念材料といえる。
なお、4月26日付アジェンシア・ブラジル(3)によれば、ミナス州と境を接するサンパウロ州アグアス・デ・リンドイアで3月29日に亡くなった男性が黄熱病に感染していたことが確認され、予防接種による免疫壁に穴が開いた可能性ありとして、州保健局や保健省が警告を発した。当該地域では住民への予防接種も強化された。
黄熱病はデング熱やチクングニヤ熱、ジカ熱同様、ネッタイシマカが媒介する病気だ。今年は地球温暖化にエルニーニョ現象が重なり、高温期が長く、ネッタイシマカの発生が増加。それに伴い、デング熱やチクングニヤ熱の感染拡大や流行も起きている。
2日現在のデング熱疑似症患者は423・5万人、確認済みは232・2万人で、死者は2149人、死因確認中は2271人だ。(4)