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基本金利=引き下げペースを減速=0・25%p減止まり=インフレ巡り見解分裂

2024年5月10日

カンポス・ネット総裁(Lula Marques/Agencia Brasil)
カンポス・ネット総裁(Lula Marques/Agencia Brasil)

 8日、中央銀行で通貨政策委員会(Copom)が開かれたが、先行き不透明感の高まりやインフレ懸念などから、経済基本金利(Selic)の引き下げのペースが従来の会合より控え目になり、0・25%ポイントの引き下げに止まり、年10・50%となった。同日付フォーリャ紙など(1)(2)が報じている。
 過去6度のCopomでは0・50%Pずつの引き下げが続いていたが、今回の会合では、前回会合後に語っていた利下げペースを下回る0・25%P減と、引き下げにブレーキがかかった結果となった。
 だが、これは委員たちが満場一致で決めた結果ではなかった。9人の委員(理事)のうち、ロベルト・カンポス・ネット総裁を始めとする5人の委員が0・25%P、フェルナンド・ハダジ財相の右腕だった財務省元ナンバー2のガブリエル・ガリポロ氏をはじめとする4人の委員は、これまで通り0・50%Pの引き下げを主張した。
 0・25%の引き下げを主張した5人はボルソナロ政権時代に選ばれた委員だったことから、委員による政治性の違いが反映された結果となった。ボルソナロ政権時代から中銀総裁を務めるカンポス・ネット氏はSelicの引き下げには消極的で、ボルソナロ政権時に13・75%まで上がっていたSelicを、ルーラ政権に移行してからも半年以上動かさず、批判された経緯がある。
 今回に関しては、市場関係者の間でも予想が割れていた。ブルームバーグでは、33人のアナリストのうち22人が0・25%P減、11人が0・50%P減と予想。また、XPインヴェスチメントスでは92人の投資家のうち55%が0・25%P減、45%が0・50%P減と見ていた。
 今回、0・25%P減に落ちついた主な要因は、米国の中銀にあたる連邦準備制度(FRS)が利下げを示唆したことで国際市場の先行きが不透明になったことだった。前回の3月のCopomの時点では、この懸念が薄かった。
 この米国の利下げに加え、ブラジル国内の労働市場が予想以上に活況のダイナミズムがあることが、さらに先を読めなくしているという。
 また、労働市場や為替の動きなどでインフレへの懸念が強まったことも、この判断の理由になっている。今回のCopomでは2024年のインフレ予想が3・5%から3・8%、2025年が3・2%から3・3%にあがっている。ボルソナロ政権時代からの委員の間ではインフレを恐れる傾向が強い。
 先週から続いている、南大河州での非常事態宣言を伴う大水害も、インフレ圧力につながると見られている。
 今回のCopomの結果は、Selicの一刻も早い引き下げを強く望んでいる連邦政府には強い不満が残る結果となった。商工相も兼務するジェラルド・アルキミン副大統領は今回の会合後、「連邦政府への信用度を見る意味では重要なサインではあるが、利下げは躊躇せず大きく行われるべきだ。ブラジルは一刻も早く、通常金利での経済運営に戻る責任を負っている」との見解を示している。


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