サンパウロ市市長選=ダテナが出馬を宣言するも=まだ決めかねているPSDB

ニュースキャスターのジョゼ・ルイス・ダテナ氏が民主社会党(PSDB)からサンパウロ市市長選に出馬すると宣言し、PSDB側もそれを認めている。だが、同党上層部では同市長選をどうするかでまだ意見が割れており、波乱含みだと16日付フォーリャ紙(1)などが報じている。
ダテナ氏は15日、G1サイトに対し、「サンパウロ市市長選に出馬することを決めた」と発言。PSDBサンパウロ市支部長のジョゼ・アニーバル氏もこれを認めた。
だが、PSDB党首のマルコーニ・ペリーロ氏や同党重鎮のアエシオ・ネーヴェス下議がまだ承認しておらず、現時点では不確定要素が残っている。
それは、ダテナ氏のこれまでの経歴によるものだ。同氏は過去に所属政党を頻繁に変えており、PSDBで11党目となる。さらに、2016年以降、サンパウロ市市長選で2度、上議選で2度出馬を試みるも、頓挫した経緯がある(2)。
今回の市長選に関しても、ダテナ氏はタバタ・アマラル氏の副候補になることを前提に、1月にブラジル社会党(PSB)に入党したが、4月になってPSDBに電撃移籍。同党でタバタ氏の副候補になることも考えられたが、今回の出馬宣言となった。
PSDB内でダテナ氏の出馬を推す勢力は、このところ内部分裂が続いている同党を一つにまとめるには、誰かの副候補でなく、同党独自の候補を擁立すべきだと主張している。
だが、ダテナ氏に関しては、これまでの選挙での経緯に加えて、先週も2度の手術を受けるなど、健康問題も懸念されている。
PSDB党内は、ダテナ氏出馬の他、現職のリカルド・ヌーネス市長(民主運動・MDB)の支持か、タバタ氏支持かでも割れている。ヌーネス氏支持を推す勢力は、同氏が2021年に急死した同党のブルーノ・コーヴァス元市長の副だったことを理由としている。
だが、PSDBサンパウロ市支部はヌーネス氏がボルソナロ前大統領の支持を得た時点で既にこの案を却下しており、ヌーネス氏の副候補もボルソナロ氏の自由党(PL)から選ばれる公算が大だ。
また、タバタ氏の支持はアエシオ氏が強く推しているが、反対派の中には、彼女は元来、ルーラ大統領支持者であり、決選投票に進む候補者が予想通りにルーラ氏が推すギリェルメ・ボウロス氏とヌーネス氏になった場合、急進左派として知られるボウロス氏を推薦するのではないかとの懸念があり、彼女が中立の立場を表明しない限りは支持できないと考えている人が多いようだ。
一部の報道(3)によると、同党の一部勢力は奥の手として、党の創設者の一人のマリオ・コーヴァス元サンパウロ州知事の息子で、ブルーノ氏の叔父でもあるマリオ・コーヴァス・ネット元市議を復党させ、市長候補またはタバタ氏の副候補にと考え始めているという。