RS州大水害=大統領が閣議で活入れ=排水や学校病院再建に=大量のゴミ処理も課題

【既報関連】4月末から1週間続いた豪雨によって起きたリオ・グランデ・ド・スル州(RS)州の大水害は、その後の雨もあり、未だに水が引かない所が各地で見られるが、ルーラ大統領は20日の閣議で再度、排水と病院や学校の再建に重点を置くよう、呼びかけたと同日付G1サイト(1)が報じた。
RS州大水害は死者と行方不明者が共に増える状態を過ぎてから10日になるが、家に戻れない人の数はまだ増えている。州防災局によると、20日朝現在の死者は157人、行方不明者は88人、被災市は463、被災者は233万9508人だ。避難所収容者は7万6188人、親戚宅などにいる人は58万1633人で、現在も65万7821人が自宅には戻れずにいる(20日付リオ・グランデ・ド・スル州公式サイト(2)参照)。
自宅に戻れない人の一部は家屋の全半壊で戻る術のない人達だが、浸水被害で戻れない人もいる。
浸水被害の酷い所では、9割の住宅が浸水地区にあり、住民の75%が家を出たが、6572人は近隣7市の避難所に収容されたエルドラド・ド・スル市や7万戸が水没したカノアス市のような例もある(17日付アジェンシア・ブラジルなど(3)(4)参照)。また、13日付G1サイトなど(5)(6)によると、急な増水で、12日間で3度も住む場所を変えた人、就寝中に水位が上がり、命からがら逃げた人、機械や書類が瞬く間に水に浸かった工場などの話が明らかになる一方、水が引き、瓦礫の山ががむき出しとなった所もある。
被災した零細小企業はタクアリ渓谷や山間部、ポルト・アレグレ大都市圏を中心に70万とされるが、ポルト・アレグレは水が引いていない所も多い。20日付アジェンシア・ブラジル(7)におYると、水が引いたタクアリ渓谷では被害の状況把握が進み、今年のガイドラインを見直さなければならない市が続出。浸水地区では損害の把握、清掃や操業再開への作業が困難なことも排水が急がれる理由だ。
また、19日付アジェンシア・ブラジルなど(8)(9)によると、ポルト・アレグレでは20日に18校、22日までに36校が授業再開の見込みだが、同市ではダメになった家具も含めた大量のごみや汚水と共に噴出した汚泥、腐敗した食物や魚や動物の死体などで強い臭気も漂い、早急な清掃が求められている。
18日アジェンシア・ブラジルなど(10)(11)によると、18日現在で約3千カ所で被害が出たと報じられた医療施設の問題も深刻で、野戦病院増設や破傷風や新型コロナ、インフルエンザなどの予防接種強化などの動きがある。他方、17日付アジェンシア・ブラジルなど(12)(13)によると、パトス湖増水で17日に新規患者受け入れを中止した連邦大学付属病院では20日、集中治療室の患者5人を空輸する事態も発生。病院再建や地域や状況に応じた対応は急務だ。
ルーラ大統領は先日の同州訪問時、避難所の収容者に、皆が家を持てるようにすると語り、持ち家政策に使えそうな家屋購入も急がせている(15日付G1サイト(14)参照)が、必要数の住宅提供は付け焼刃でできる事業ではない。
17日付アジェンシア・ブラジル(15)によると、エドゥアルド・レイテ知事も17日、国への負債の返済猶予を受けた120億レの南大河計画基金創設と、社会福祉優先の短期計画、住宅開発やインフラ工事、州の経済活動促進のための取り組みなどの中期計画、より広範な経済開発計画などの長期計画の3本柱を打ち出すと共に、140億レ規模の減免税措置交渉も検討していることを明らかにした。
水が引いて自宅に戻った市民は家具や電気製品も買い替えなければならない状況に直面しており、連邦政府と州政府が貧困家庭への緊急支援金を支給。17日付アジェンシア・ブラジル(16)によると、17日現在で72市の労働者には勤続期間保障基金(FGTS)からの最大6220レまでの引き出しが認められた。昨年の豪雨被災地の58市でも同様の措置が認められている。
他方、同州の企業家達はアルキミン副大統領兼商工開発相を訪ね、コロナ禍で採用された時短と減給などを伴う特別な労働形態を復活させて雇用や収益を維持することの検討も依頼。また、同州産品の他州への輸送や他州からの製品や原材料購入のための交通網の整備も急務で、15日付アジェンシア・ブラジルなど(17)(18)によると、15日には144カ所あった幹線道の寸断箇所も18日に82カ所が解放されたが、橋再建などは時間がかかり、他の道に迂回するといった措置も必要だ。
どの市、どの部門も被災額を試算しきれずにいる中、週の半ばはまた、100~150ミリ前後の雨が降るようだ(17日付アジェンシア・ブラジル(19)参照)。
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