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ハダジ財相には苦難の週=支出見直しで道は開くか

2024年6月15日

市場からの反応後、政府支出を見直すと語るハダジ財相(13日付G1サイトの記事の一部)
市場からの反応後、政府支出を見直すと語るハダジ財相(13日付G1サイトの記事の一部)

 【既報関連】政権初年の財政均衡法承認で市場からの信用も高まり、税制改革の形も見えてきたかと思われていた第3期ルーラ政権が、このところ、議会との駆け引きで苦労している。特に、労働者党(PT)も含めた政権与党や市場からの批判や疑問の矢面に立たされているのがハダジ財相だ(13日付G1サイトなど(1)(2)参照)。
 この週は、国家配給公社による輸入米の入札中止や、上院議長による社会統合基金(PIS)と社会保険融資納付金(Cofins)に関する暫定令(MP)の差し戻しに続き、ルーラ大統領による「社会政策の観点から節約は考えていない」という発言などによるドルの上昇(5・40レ/ドル突破)と株式指数下落と、現政権や経済スタッフにとってはこれまで以上の圧力となる出来事が続いた。
 経済スタッフが大統領発言で冷や汗をかき、市場の信頼を失いかねない状態に置かれたのは初めてではない。一例は、ハダジ財相が掲げていた24年の基礎的財政収支の赤字ゼロという目標をないがしろにするかの「多少の赤字は認めるべき」という趣旨の発言で、4月に提出され、年間予算案の基となる連邦予算基本法(LDO)が基礎的収支の赤字ゼロという目標を25年に持ち越す内容となったことは、ハダジ氏や財政政策への信用度低下を招いた。
 11日に差し戻されたMPは、17部門と規模の小さな市に対する税の軽減措置(デゾネラソン)を27年まで延長する法案を覆せなかったことで生じた税収減を埋め合わせるための苦肉の策だ。政府は既に、企業や小規模の市へのデゾネラソン廃止(税の再負担)への試みで失敗しており、今回の差し戻しは歳入増で財政目標を達成することがより困難になったことも意味する(6日付G1サイト(3)参照)。
 13日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、MP差し戻しや大統領発言でドル高が進んだ後の13日は、欧州訪問中の大統領の職を代行中のアルキミン副大統領兼商工開発相が「現在のドル高は一時的なもので、必ず下がる」との見解を強調する場面も見られた。
 上院では差し戻されたMPに代わる税収増策を探す動きが起きている(13日付アジェンシア・ブラジル(5)参照)一方、PTの一部や政府内からも財相への批判や交代要請が出ているという(12日付G1サイト(6)参照)。だが、ルーラ大統領にはハダジ氏を替える気はないという。
 市場関係者や投資家らの信頼を保つために現時点でハダジ財相がとり得る手段は財政目標に極力近い結果を残すための支出見直しだけといえる。13日付G1サイトなど(7)(8)によると、ハダジ財相は13日、テベテ企画予算相との会合後、「議会や行政の様々な意図に応え、来年こそは安心できるため、公共支出の削減(見直し)プロセスを加速する」と発表した。この発表でドルは少し下がったが、財相は今月中に広範かつ一般的で制限のない見直しを行うとしただけで、具体的な規模や目標は明らかにされていない。


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