site.title

商議所=サンパウロ州経済開発庁長官リマ氏講演=「もっとビジネス環境を整える」

2024年6月29日

リマ氏に感謝状を贈る小寺勇輝会頭(写真:Rubens Ito/CCIJB)
リマ氏に感謝状を贈る小寺勇輝会頭(写真:Rubens Ito/CCIJB)

 ブラジル日本商工会議所(小寺勇輝会頭)は21日、サンパウロ市のラゲット・スティロ・サンパウロ・ホテルで定例懇親昼食会を開催した。今回は特別ゲストにサンパウロ州経済開発庁長官のジョージ・リマ氏を迎え、タルシジオ・デ・フレイタスサンパウロ州知事の政権下でどう経済開発するかの展望が語られた。約140人が参加し、日本に駐在経験がある親日家のリマ氏の話に耳を傾けた。
 リマ氏はPUC大学(ミナスジェライス州)機械工学科卒業。SUDECAP(資本開発監督局)、ヴァーレ(鉱山会社)、Cushman Wakefield会社の最高経営責任者(CEO)などを歴任し、現知事の友人であったことから政治の場に登壇した。州経済開発では「政治よりも現場のテクニカルな側面を重視している」との信条を述べた。
 最初にサンパウロ州の基礎情報を説明し、同州のGDPはブラジルの30%以上を占めて1位、過去3カ月間の平均賃金と雇用創出数も1位、同州内の主要な産業都市からサントス港までの物流や高速道路の質も他州と比較して圧倒的に優れていると説明。連邦政府とは一線を画した取り組みが行われており、「サンパウロ州を一つの国として考えるとスペインに類似している」との見解を示した。

講演するジョージ・リマ氏(写真:Rubens Ito/CCIJB)
講演するジョージ・リマ氏(写真:Rubens Ito/CCIJB)

 知事と共に日系社会と日系企業を重要視しており、これまで自らが指揮を執った会社では、カイゼン活動など日本の成功事例を導入することにも努めてきた。今年3月にはトヨタ・ド・ブラジルがソロカバ市の同社工場で2030年までに110億レアル(約3300億円)の投資を発表したことにもリマ氏は尽力した。この投資は脱炭素に向けた取り組みで、バイオエタノールも利用可能なフレックス車にハイブリッドシステムを搭載した新車種を製造するというものだ。
 「サンパウロ州には960万ヘクタールのサトウキビ畑があり、エタノールへ投資すべきである。ブラジルは電気自動車への免税措置を廃止した。ブラジルではどこのガソリンスタンドにもあるエタノールから水素も製造できる」と強調した。サンパウロ州の62%はクリーンエネルギーで、そのコスト調整の方が課題となっている。
 農業ではブラジルのアグリビジネスをけん引する大豆やトウモロコシだけでなく、日本人移民がブラジルで普及したフルーツや野菜の栽培にも力を入れることに前向きだ。

講演会の様子(写真:Rubens Ito/CCIJB)
講演会の様子(写真:Rubens Ito/CCIJB)

 観光は町の大小を問わず産業とみなしてビジネスに力を入れることを推進。例えば、サンパウロ州には200以上のワイナリーがあり、高品質のワインも生産されているため、「アルゼンチンのメンドーサのような観光地もつくりたい」と語った。
 サンパウロ市内で2012年から工事がストップしてきたモノレールも2026年までに完成したいとインフラ整備への意気込みを見せ、「日系企業の皆様には仕事がし易い環境を整え、ブラジルで利益を出せるようにサポートするので、いつでも声をかけてほしい」と呼びかけて締めくくった。


ヤクルトがスポンサー契約更新=五輪に向けブラジル水泳連盟と前の記事 ヤクルトがスポンサー契約更新=五輪に向けブラジル水泳連盟と県連日本祭り=自慢の郷土料理が大集結=北海道ホタテ、白熊、太平燕も次の記事県連日本祭り=自慢の郷土料理が大集結=北海道ホタテ、白熊、太平燕も
Loading...