連警=元大統領ら12人を書類送検=サウジからの贈呈品問題で=横領や資金洗浄などの嫌疑

前大統領のジャイール・ボルソナロ氏が4日、連邦警察により書類送検された。大統領時代に行ったとされる、サウジアラビアから贈られた宝石などを国の資産とせず、私物として売却しようとしたりした嫌疑によるものだ。他にも関係者11人が書類送検された。同日付G1サイト(1)が報じている。
最高裁の規定によれば、連邦警察の捜査の報告書は、連邦検察庁(PGR)長官に送付される。更なる捜査を提案するか、裁判所に正式に起訴するか、事案を終了させるかは長官が決める。
これは、2021年10月にボルソナロ氏がサウジアラビア王室から高級ブランドの宝石を贈呈品として受けた疑惑などに関するものだ。贈答品は2021年1 0月26日、ベント・アルブケルケ鉱山動力相(当時)が持ち帰ったが、申告もせずに持ち込もうとしたため、サンパウロ州グアルーリョス空港の税関で没収されたことで、存在が明らかになっていた。
これらの贈呈品は3箱あり、総額16 50万レアルの価値があった。大統領が外交上の贈呈品を受け取る場合は連邦政府のものとされ、個人で受け取ることができない上、外交儀礼でこのような高価な贈答品が渡されることは極めて稀であることから、当時から、これらの宝石は形を変えて現物支給された賄賂なのではないかとの疑惑が浮上していた。(2)
また、贈呈品の一部は没収を免れて持ち込まれており、その中の一つのロレックスの時計に関しては、ボルソナロ氏の大統領任期が切れた2023年に米国で転売しようとした疑惑が前大統領元側近のマウロ・シジ容疑者の携帯電話の記録で確認されている。
連警は今回、ボルソナロ氏を横領、組織犯罪、資金洗浄の嫌疑で訴えている。また、ボルソナロ氏のほかに、アルブケルケ氏やシジ氏、鉱山動力省ナンバー2だったジョゼ・ロベルト・ブエノ・ジュニオル氏、国税庁元主任のジュリオ・セーザル・ヴィレイラ・ゴメス氏、大統領府歴史保管局長官だったマルセロ・ダ・シルヴァ・ヴィエイラ氏、アルブケルケ氏元側近のマルコス・アンドレ・ドス・サントス氏、ボルソナロ氏の元側近のマウロ・シジ氏、ボルソナロ氏広報官のファビオ・ワインガルテン氏、ボルソナロ家担当弁護士のフレデリック・ワセフ氏、シジ氏の父親でボウソナロ氏と旧知の予備役軍人のマウロ・セザール・ロウレナ・シジ氏、ボルソナロ氏側近のスマール・クリヴェラッティ氏が書類送検された。
彼らのうち、10人が「組織犯罪」、7人が横領、9人が資金洗浄、1人が機能犯罪(行政擁護)に問われている。
ボルソナロ氏は一貫して、これらの嫌疑への関与を否定し続けている。また、ワインガルテン氏は今回の書類送検を受け、「報道されて初めて自分が書類送検されたことに気がついた。私は何の計画にも加担していない。法的な手段に訴える」としている。
また、ボルソナロ政権時に法相を務めたセルジオ・モロ上議も、「ルーラ氏も以前の大統領時代、それもラヴァ・ジャット作戦の対象期間にプレゼントを受け取ったことがあるが、その時は問われなかった。なぜボルソナロ氏なら問われるのか」と疑問を呈していた。(3)
連警の捜査報告書は連邦検察庁に回され、それを審査・分析した検察が最高裁に起訴状を送付。最高裁がそれを受理すれば、対象となっている人物は被告となる。同件の最高裁での担当者はアレッシャンドレ・デ・モラエス判事だ。
CNNブラジル(4)によると、ボルソナロ氏は最悪の場合、32年の実刑判決を受ける可能性があるという。