連警捜査=ABINが違法諜報活動か=フラヴィオ上議の告発者を=前大統領も話合いに参加

【既報関連】11日に連警が捜査を行った、ブラジル情報庁(Abin)の違法スパイ疑惑に関し、ボルソナロ前大統領がアレッシャンドレ・ラマジェン長官(当時)と長男フラヴィオ上議をリオ州議時代のラシャジーニャ(ピンハネ)疑惑の捜査から守るための会議を行っていたことや、11日に逮捕された容疑者が最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事の殺害を望んでいた嫌疑が浮上した。同日付G1サイト(1)などが報じている。
連邦警察は11日に、Abin元職員のジアンカルロ・ゴメス・ロドリゲス容疑者やマルセロ・アラウージョ・ボルメヴェッチ容疑者ら5人を逮捕した。容疑者らは「並行Abin」と呼ばれる組織のメンバーで、前政権内の非公式通信グループ「憎悪部隊」と協力し、不正なスパイ行為を行っていたとされている。(2)
スパイ行為の対象となっていたことが判明しているのは、モラエス氏をはじめとする最高裁判事5人や、現下院議長のアルトゥール・リラ氏、その前任にあたるロドリゴ・マイア氏、ジョイセ・ハッセルマン元下議、アレッサンドロ・ヴィエイラ下議、キム・カタギリ下議、ジョアン・ドリア元サンパウロ州知事、オマール・アジス上議、レナン・カリェイロス上議、国立再生可能天然資源環境院(Ibama)捜査員など。彼らはいずれも、ボルソナロ氏と司法や政治運営、環境問題、コロナ対策などで反目していた人物だ。(3)
連警はこの捜査と並行して、ボルソナロ氏やラマジェン氏がフラヴィオ氏のラシャジーニャ捜査に干渉した疑いの持たれる録音を発見したことを公表した。連警によると、2020年8月25日夜、大統領府で行われた会議の記録はラマジェン氏が録音したものだったという。
録音は18時からの1時間8分に及ぶもので、会議にはボルソナロ氏とラマジェン氏の他、大統領府安全保障室(GSI)長官だったアウグスト・エレーノ氏とフラヴィオ氏の弁護士2人が参加していた。フラヴィオ氏は新型コロナ感染中で欠席だった。(4)
フラヴィオ氏の弁護団はこの席上、フラヴィオ氏のラシャジーニャ疑惑の発端となった金融活動管理審議会(Coaf)の報告書を不審視し、「監査員たちによる違法な覗き見的行為が行われていた可能性がある」と主張した。
ラマジェン氏はこの報告を受け、「フラヴィオ氏の捜査を無効にするために(Coafを管轄していた)国税庁の捜査が必要だ」と語ったという。Abinによる秘密裏の捜査は2020年11月20日、リオ州検察局がフラヴィオ氏を起訴した15日後に行われたという。
同G1記事によれば、フラビオ上議は、ラシャジーニャ疑惑での不正行為を否定し、「 当時、機密データが国税庁内部で犯罪的にアクセスされたことが問題とされ、裁判所の判断で事件はすでに終わったはず」とし、 同上議は連邦警察がこの捜査で蒸し返していると批判した。
ラマジェン氏は11日の捜査に関する報道後、スパイ行為を否定し、「連警はでっち上げの作り話をしている」と批判した。ラマジェン氏は現在は下議で、10月のリオ市長選に出馬する予定だ。(5)
連警は、ジアンカルロ、ボルメヴェット両容疑者が2021年8月に行った会議で、モラエス判事に関し、「頭を撃たれるのに値する人物だ」と発言したことも明らかにした。今回の連警の捜査を了承したのはモラエス判事だった。(6)