森林火災が上半期に倍増=パンタナルは529%増

【既報関連】MapaBiomasが12日、ブラジルは上半期に448万ヘクタール(ha)の森林を焼失と発表。この数字は208万haだった昨年同期の119%増にあたると12日付G1サイトなど(1)(2)(3)が報じた。
上半期に起きた焼失面積の78%は在来植生で発生した。また、火災で被害に遭った植生の40%は農村部のものだったという。 植生別に見た焼失面積はアマゾンが最大で、全体の66%にあたる297万haを占めた。2位はセラードで、昨年同期を48%〈30・7万ha〉上回る94・7万haを焼失した。セラードで焼失した面積の72%は自然植生が占めており、6月の焼失面積53・4万haは全国一だった。
州別の焼失面積最多はロライマ州の200万haで、全体の44%を占めた。2位はパラー州の53・5万ha、3位はマット・グロッソ・ド・スル(MS)州の47万haで、3州での焼失面積は全体の67%を占める。
火災モニター(モニトール・ド・フォゴ)でアマゾナス州のマッピングを担当するフェリッペ・マルテネクセン氏は、今年初めの火災はアマゾン、特に年頭に干ばつが起こるロライマ州農村部に集中していた。干ばつはエルニーニョ現象で激化。延焼を容易にし、制御や軽減を困難にしたという。
他方、6月の火災は少雨と気温上昇が重なったセラードとパンタナルに集中した。セラードは干ばつのため、この時期に火災が起きるのが普通だが、今年の焼失面積は過去6年間で最多だった。パンタナルは火災シーズンが予想より早く、火災管理の課題が激増したという。
パンタナルでは上半期に529%増の46・8万haを焼失。全体の79%の37万haは6月に焼失した。パンタナルで最大の被害を受けたのはコルンバー市近郊で、6月だけで29・9万haを焼失した。上半期の焼失面積は過去5年間の平均より39・4万haも多い。
パンタナルは、極度の干ばつとそれに伴う水面の大幅な減少で火災発生と延焼が起こり易くなっている。2023年は同地域最後の大規模洪水が起きた18年より50%乾燥しており、水面は過去6年間の平均を61%下回る38・2万haに減少。この数字は1985年の観測開始以来最も乾燥していた2020年と21年並みで、今年は状況がより悪化。5月の降水量は20年以来最低で、平年のような洪水のピークがないまま、9月まで続く干ばつに直面。火災発生と延焼が促進されている。
6月の州別焼失面積はMS州36・9万ha、トカンチンス州22・9万ha、マット・グロッソ州20・2万haと続き、パンタナルとセラードの火災多発を裏付けた。
11日付アジェンシア・ブラジルなど(4)(5)によると、極度の干ばつと火災増に悩み、爬虫類や両生類などの墓場と化したパンタナル支援のため、連邦政府は12日に1・379億レの追加拠出を決定。10日付アジェンシア・ブラジル(6)によると、同日は他国からの航空機や操縦士などの支援を受け入れるための暫定令も出ている。
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