米CIAが58年前からルーラ監視=複数機関が3千頁超報告

米国政府傘下の複数の機関が50年余り、ルーラ氏(労働者党・PT)を監視し、少なくとも819件、3300ページの報告書を作成と18日付フォーリャ紙など(1)(2)(3)が報じた。
ルーラ氏の伝記作家でジャーナリストのフェルナンド・モライス氏が米国政府から受け取ったのは1966~2019年の情報だ。
その大半を作成した米中央情報局(CIA)はルーラ氏関連の文書613件、計2千ページを保管している。また、これらの報告書では、ルーラ氏とジルマ元大統領、中東や中国当局との関係、ブラジルの軍事計画、ペトロブラスの生産などに関する情報を取り扱っているという。
モライス氏が要請した文書はルーラ氏が労働組合運動を立ち上げた軍事独裁政権時代から2018年に起きた逮捕直後までの50年余りに及ぶが、2023年に始まった現政権中に収集された情報は含まれていない。
モライス氏が服役中だったルーラ氏からの依頼で米国の政府機関にある記録の収集に乗り出したのは2019年だ。ポガスト・グッドヘッド法律事務所の協力を得、米国の情報公開法に基づいて要求したのは、米国諜報機関が作成した報告書や調書、手紙、電子メール、会議議事録、電話記録、その他で、最初の文書は国防総省を通して送られてきたという。
ポガスト・グッドヘッド法律事務所グローバル管理者のトム・グッドヘッド氏は、「米州大陸の二大国の関係に光を当てる必要がある。これは顧客であるフェルナンド・モライス氏とブラジル人全ての権利だ。我々は北米当局が我々の要求に応じてくれると信じている」と語っている。
同法律事務所はミナス州マリアナで起きた鉱滓ダム崩壊事故被害者代表として英国とオランダで裁判を起こしている。また、北米支部はモライス氏のために無償で働いている。
モライス氏が要請した情報は1966年以降のものだが、ルーラ氏に関する最初の記録が作成された時期は不明だ。
現在までに発見された文書はCIA613件、国務省111件、国防情報局49件、国防総省27件、米軍支援部隊である南軍8件、陸軍サイバー司令部と軍事作戦及びデジタル情報部門各1件だ。その他、連邦捜査局(FBI)と米国家安全保障局(NSA)、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)からは返答待ちだ。
モライス氏はこれまでも米国のデータを扱った本を書いており、米国政府は国家安全保障にリスクをもたらすと考えている部分の抜粋に拒否権を発動していると述べている。同氏が執筆したルーラ氏の伝記第1巻は中国語などにも翻訳された。現在は2巻目を執筆中で、今回入手した資料の内容も盛り込まれる予定だ。
米国諜報機関によるスパイ活動は公然の秘密で、2013年9月8日付BBCサイトなど(4)(5)(6)(7)によると、2013年には少なくとも35カ国の首脳やペトロブラスへのスパイ活動、2015年にはジルマ元大統領へのスパイ活動などが報じられている。