ベネズエラ大統領選「落選すれば血の海だ」=マドゥーロが威嚇発言=言及避け続けるルーラ

ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領は17日、28日に控えた大統領選に関し、「自分が落選したら血の海になる」と発言。過去の大統領選を不審視され、次の選挙が公正に行われるかが国際的に注目されている中での発言だった。18日付UOLサイトなど(1)が報じている。
問題の発言は、マドゥーロ大統領が17日に首都カラカスのラ・ヴェガ地区で行った演説で飛び出したものだ。同氏はこの時、「自分が勝利することだけが国の平和を保証する」と聴衆に訴えた。
マドゥーロ氏は続けて「ベネズエラの21世紀の命運は28日の選挙にかかっている。我々を望まなければベネズエラは血の海となるだろう。ファシストたちが仕組む内乱によってだ。我々は歴史的勝利を手にしなければならない。勝利が確かになればなるほど、平和も約束されるのだ」と語った。
マドゥーロ氏は11日にも、「暴力的な反攻を取るか、平和を取るか、植民地を取るか、愛国的なプロジェクトを取るか、ファシズムを取るか、民主主義を取るか。国民よ、準備はできているか」と煽っており、今回の発言はそれを繰り返した形となった。
ベネズエラでは17日未明にも、野党の最大の対抗馬であるエジムンド・ゴンザレス・ウルティア氏の警備責任者のミルシアデス・アヴィラ氏が、「違法な手続きを行った」との理由で突然逮捕されている。同国ではこの半年間で、野党側関係者が既に46人逮捕されている。
本来の野党リーダーで、同国最高裁に出馬を禁止されたマリア・コリーナ・マチャド氏は、「マドゥーロ氏のキャンペーンは日に日に暴力性を増している」と非難している。
ベネズエラでは2018年にも大統領選が行われたが、この時はマドゥーロ氏が国民議会を骨抜きにし、同氏の近親者で構成される並行の制憲議会を結成。この制憲議会による選挙は同年5月に行われたが、国民が抗議を示すためボイコット。2019年1月の就任宣言は国民議会ではなく、最高裁で行われたが、これを認めない野党側がフアン・グアイド国民議会議長を暫定大統領とし、自由で公正な選挙の実現を目指したが、その選挙も握り潰された。
これにより、ベネズエラは米国などから強い制裁を受けていたが、今回の選挙に関しては、ノルウェーが仲介役に名乗り出て、マドゥーロ氏と野党側で公正な選挙を行う約束も交わされた。
だが、出馬を希望する野党候補が次々と出馬無効とされた上、ベネズエラ政府がEUなどによる選挙監視を拒否するなど、懸念される状況は続いている。
今回選挙に関し、ブラジル選挙高裁は17日、2人をベネズエラに送り、大統領選の監査に参加することを明言している。(2)
しかし、このような状況になっても、ルーラ大統領や外務省は、同国での大統領選キャンペーンのあり方やマドゥーロ氏の言動に関して沈黙を守ったままだ。ルーラ氏は常々、民主主義を主張し、公正な選挙をと求めているが、メディアからはマドゥーロ氏や同国政府に対する態度は日頃の主張と矛盾するとの批判や疑問が相次いでいる。
ルーラ氏は19日にサンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポスで行われたイベントで、「ベネズエラともニカラグアともアルゼンチンとも喧嘩はしたくない」「選びたい人物を決めるのは国民であり、干渉はできない」として、マドゥーロ氏の行動に言及することを避けている(3)。