ルーラ大統領がチリ訪問へ=15以上の協定に調印予定

2日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)によると、ルーラ大統領は4〜6日の日程で隣国チリを訪問し、15以上の二国間協定に調印する予定だ。この訪問では、商業の枠を超えた両国間のパートナーシップの多様化に焦点を当て、ブラジル製品の輸出範囲を拡大することが期待されている。訪問には閣僚や政府関係者の他、約200人のブラジル人企業家も同行し、首都サンティアゴで開催される「チリ・ブラジルビジネスフォーラム」に参加する予定だ。
ブラジル外務省(MRE)ラテンアメリカ・カリブ地域局長のジゼラ・パドヴァン氏は、今回の訪問は2022年3月のガブリエル・ボリッチ氏の大統領就任式出席に続く、両国の外交的和解の象徴とし、「我々は二国間のアジェンダを拡大し、経済・貿易問題にとどまらず、科学技術、民主主義と人権の擁護、教育、技術革新、健康といった問題にまで踏み込んだ友好関係を築きたいと考えている。我々は、多くの側面をカバーする非常に密度の濃いアジェンダを用意している」と述べた。
同大使によれば、ブラジルはチリとの間で、防衛産業(両国は以前から航空機製造において歴史的なパートナーシップを結んでいる)に関わる問題や、ブラジル産の農産物、特に食用油の輸出拡大に関して話し合う意向だという。一方、チリは、安全保障、犯罪対策、自然災害のリスク、サイバーセキュリティなどに関する話し合いに関心を持っている。
また、「この地域がコモディティの輸出だけにとどまらず、そこから恩恵を受け、質の高い雇用を創出できるよう取り組んでいきたい」とし、ルーラ大統領とボリッチ大統領が民主主義、地域統合、環境、人権、社会的包摂、パレスチナ情勢などの国際的なテーマに関し、共通の立場に立っていることを強調。「これらの問題は国際的なアジェンダの中で見解が一致しているもので、政治的な対話も非常に重要になる」とも語った。
ブラジル外務省によると、訪問中には17の協定を締結する準備が整っているが、これらが実際に署名されるためには、各分野の当局者がブラジル代表団に参加する必要がある。
チリ側がブラジルの統一医療保健システム(SUS)に関心を示していることから、公衆衛生に関する協定や、介護政策、水資源と環境に関するグッドプラクティス、LGBTGIA+や高齢者、障害者の人権、さらに科学、技術、イノベーションなどの問題に関する文書に署名する可能性があるという。
貿易・投資分野では、輸出関係の強化や有機製品の認証、エネルギー転換のための戦略的鉱物の開発、観光の活性化などの協定が予定されている。
また、ルーラ大統領はこの訪問中に、チリの主要企業であるラタン航空の代表や、テンアメリカ・カリブ地域経済委員会(Cepal)のホセ・マヌエル・サラサール=キリナックス事務局長とも会談する可能性が示唆されている。
ブラジルとチリは188年に及ぶ関係を築いており、90以上の二国間協定を締結している。ブラジルはチリにとって第3の貿易相手国であり、最大の投資先だ。一方で、チリはブラジルの輸出先として第6位であり、両国間の貿易額は年間120億米ドルにのぼる。
同訪問は、南米地域の外交関係にとって重要な時期に行われる。ベネズエラの選挙結果に対し、南米諸国の間で意見が分かれており、ボリッチ政権は「検証不可能な結果」は認めないという立場を表明しており、駐ベネズエラ大使が追放処分を受けた。一方のブラジルは現在のところ、より慎重な姿勢をとっており、マドゥーロ氏に対して投票所の議事録提出を求めている。