サル痘=WHOが緊急事態宣言=ブラジルでの感染は控えめ

世界保健機関(WHO)が14日、緊急委員会を開催し、サル痘(23年にエムポックスと改名)に対する公衆衛生上の世界的緊急事態を再宣言したと同日付アジェンシア・ブラジル(1)が報じた。
エムポックスはサル痘ウイルス感染による急性発疹性疾患で、アフリカ中央部から西部での発生が多い。ウイルスの自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類の可能性があるが、詳細は不明。感染は、同病に罹っている動物や人との接触や、ウイルスが付着した物に触れることで起こる。主な症状は発熱と発疹で、大半は2~4週間で自然に回復するが、小児などでは重症化し、死亡することもある。
ただし、WHOは6月末に、より致死率の高いウイルスが存在すると警告。このウイルスは、アフリカ中央部で確認された1bと呼ばれる変異株で、小児では致死率が10%を超えたという。2022年のパンデミックを引き起こしたウイルスは2b型のウイルスの致死率は1%以下だった。
14日付アジェンシア・ブラジルなど(2)(3)によると、緊急員会は、コンゴ共和国を中心にアフリカ大陸で感染者が急増していることを受け、テドロス・アダノム事務局長が7日に招集したもので、世界的緊急事態宣言はWHOが採用する警告レベルでも最重度だ。エムポックスは2022年7月に緊急事態とみなされたが、2023年5月に緊急事態が解除されていた。
WHOによると、今年の患者発生数は既に2023年の年間発生数を上回る1万4千件以上で、524人の死者も出ているという。13日付アジェンシア・ブラジル(4)によると、6月までの感染者は116カ国で9万9176人、死者も208人とされていたから、その後の1カ月余りで状況が悪化したことがよくわかる。
特に深刻なのはアフリカ大陸で、13日付アジェンシア・ブラジル(5)によると、急速な感染拡大を理由にアフリカ疾病管理予防センター(CDC)事務局長のジーン・カセヤ氏は13日にアフリカ大陸での緊急事態を宣言した。
カセヤ氏は13日に、「エムポックスへの対応は集団的な行動が必要」とし、パンデミックや大流行、自然大害、紛争に直面してきたし、対立関係はまだ残っているが、細分化された国家としてではなく、アフリカとして行動することを宣言したが、エムポックスはアフリカだけの問題ではなく、世界的な問題とも語っていた。
12日付アジェンシア・ブラジルなど(6)(7)によると、ブラジルでのエムポックス感染は22年8月がピークで、4万人以上が感染したが、23年8月は400人強に減少。今年の感染者は709人とされており、13日には緊急会合も開かれたが、その後の発表によると、1月の170人強が最多で、8月は40~50人程度と見られているという。保健省は現在の感染状況を「無視できるほどではないが、かなり控えめ」と評価している。