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議員割当金巡る軋轢続く=最高裁はジノ氏の判断支持

2024年8月19日

議会との間の軋轢の元となる司法判断を行った最高裁のジノ判事(©Rosinei Coutinho/SCO/STF)
議会との間の軋轢の元となる司法判断を行った最高裁のジノ判事(©Rosinei Coutinho/SCO/STF)

 【既報関連】フラヴィオ・ジノ最高裁判事が14日に、透明性確保のための基準を明確にするまでは各議員が地元でのプロジェクトなどに使用できる議員割当金の支払いを停止する司法判断を下したのを受け、上下両院合同予算委員会(CMO)が司法機関への特別予算付与のための暫定令(MP)を否決したことで、議員割当金を巡る軋轢が再表面化し、交渉等が続いている。 4月23日付弊紙記事など(1)(2)にもあるように、議員割当金は連邦政府が通したい法案やプロジェクト承認の際の票確保のための議会工作にも使われるが、最高裁はその透明性を以前から問題視していた。
 2020年から使われ始めた「秘密予算」と呼ばれた割当金は一例だ。秘密予算は年間予算法(LOA)案審議時の報告官の裁量で支払われ、支払いが与党側に偏っているとか、使途が不明瞭といった声が噴出したため、2022年末に最高裁が「違憲」と判断。秘密予算は2023年も194億レが見込まれていたため、議会側が対応に追われ、議員個人の割当金額引き上げなどで対処した(23年3月14日付弊紙記事(3)参照)。
 グループ(バンカーダ)向け割当金は2017年、議員個人が特定の市や州に送るが特定のプロジェクトとの関係が義務付けられていないPIX割当金は2019年、委員会割当金は2020年に導入されたが、透明性の欠如はいつも問題視されていた(14日付G1サイト(4)参照)。
 ジノ判事の司法判断もこの点を問題視したもので、1日には特に苦情が多いPIX割当金の支払いに条件を設け、14日には透明性に関する基準が決まるまでの議員割当金の支払いを停止した(1、14日付アジェンシア・ブラジル(5)(6)参照)。
 14日付ヴァロール紙(7)によると、CMOの反応はジノ氏の判断への報復行為ともとられたが、上下両院や政党は軋轢回避のため、15日にジノ氏の司法判断を停止させるよう最高裁に申し入れた(15日付アジェンシア・ブラジルなど(8)(9)参照)。議会側は要請の中で、ジノ氏の判断は合議制の原則を無視した単独判断を正当化するような緊急性の高い文脈では行われていないとし、合法性や合憲性に疑問を呈した。また、国民と連邦/地方自治体の行政上、最も重要な政策や公共事業を麻痺させ、公共利益に即刻かつ直接的な損害を与える決定だと訴えた。
 だが、16日付G1サイト(10)(11)によると、ルイス・ロベルト・バローゾ最高裁長官は16日、ジノ氏の判断への介入要請を拒否し、同件をビデオでの全体会議にかけた。投票は票の見直し要請や対面式の本会議開催要請が出ない限り16日23時59分までだが、10時過ぎにはジノ氏の判断維持に賛成が6票となるなど、司法判断は覆りそうにない。
 他方、投票を済ませた判事らも言及しているように、状況打破のための動きは出ている。これは、最高裁と連邦議会、連邦政府による三者合議により、割当金の支払いに課せられた制限を緩和しようとするものだ。
 議員割当金は連邦政府にとっても両刃の刃で、今年度のLOA裁可の際にルーラ大統領が拒否権を行使し、委員会の割当金を56億レ削減した時は議会との間の軋轢が増した(1月24日付弊紙記事(12)参照)。拒否権の場合は議会側がそれを拒否することで覆せるが、最高裁の判断は議会には覆せない。
 ルーラ大統領は13日に連立与党内での軋轢を避けるためにも交渉による解決をと求めており、16日も、透明性があり、共有されている場合には議員割当金を使うことに賛成すると語っている(13、16日付G1サイト(13)(14)参照)。


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