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PB肥料工場=8億7千万レ投じて再稼働=2千人以上の雇用生み出す

2024年8月17日

式典に参加したルーラ大統領(右)と握手を交わすマギダ・シャンブリア・ペトロブラス総裁(左)(Foto: Ricardo Stuckert/PR)
式典に参加したルーラ大統領(右)と握手を交わすマギダ・シャンブリア・ペトロブラス総裁(左)(Foto: Ricardo Stuckert/PR)

 ルーラ大統領(労働者党・PT)は15日にパラナ州を訪れ、ブラジル石油公社ペトロブラス(PB)傘下の肥料会社アラウカーリア・ニトロジェナードス社(ANSA)の工場稼働再開式典に出席した。同工場は2020年に閉鎖されたが、再開に向け、8億7千万レアル(約235億円)の投資が行われると、同日付アジェンシア・ブラジルなど(1)(2)が報じた。
 7月初旬、閉鎖時に解雇された元従業員215人が再雇用された。生産再開までには2千人以上の雇用が創出され、2025年下半期に予定されている生産再開後も、約700人の直接雇用が維持される見込みだ。
 また、同工場に隣接するプレジデンテ・ジェトゥリオ・ヴァルガス製油所(Repar)には2028年までに32億レアルの投資が予定されており、2万7千人の直接・間接雇用が創出される予定だ。同製油所は国内の石油製品市場の約15%を占めており、パラナ州、サンタカタリーナ州、サンパウロ州南部、マット・グロッソ・ド・スル州を中心に、ガソリンや航空灯油、ディーゼル油、LGP(液化天然ガス)、燃料油、船舶油、アスファルト、コークス、プロピレンなどを供給している。
 ルーラ大統領は、「我々は単に40億レアル近い投資を行い、肥料工場を再開するのではない。この国の自尊心、国民の誇りを取り戻すために取り組んでいるのだ。労働者にとって重要なのは、雇用が保証され、公正な給与を受け取り、家族を尊重して守ることだからだ」と述べ、ボルソナロ前政権(自由党・PL)下でのPBへの投資停滞を嘆いた。
 ルーラ大統領は式典前、「ラジオT」のインタビューに応え、国内における肥料生産の重要性を強調し、輸入依存を減らす必要があると主張。「巨大なポテンシャルを持つ農業生産国、特にパラナ州のように農業生産が非常に強い地域で肥料工場を閉鎖するなど、考えられないことだ」と述べた。
 「農業の可能性を高めるためには、ブラジルが必要としている肥料の9割を輸入に頼っていてはならないということを考えないのは、無責任だ。我々は農業のポテンシャルを回復させようとしているのだ」と付け加えた。
 尿素などの窒素肥料は国内の農業分野で広く使用されており、作物に必要な栄養素を供給するために不可欠とされている。尿素生産の基礎となるアンモニアは水素と窒素の結合によって抽出される。製油所などで大量に使う水素は、石油や天然ガスに含まれる炭化水素を水蒸気と反応させて分離することで得られる。
 ブラジルは、全世界の肥料生産量の8%(推定5500万トン)を消費しているが、農業分野で使用する肥料の85%は輸入している。ANSAの尿素生産能力は年72万トンで、これは国内市場の8%に相当する。
 PBによると、同社の2024〜28年の戦略計画には、国内の石油精製所の拡張に600億レアル、肥料工場に約60億レアルの投資が含まれている。
 ルーラ大統領は同式典のスピーチで、「PBのユニフォームを着ることで感じる誇りに打ち震えている」と語り、より強く、公社のままのPBが復活し、ブラジルのために貢献できることや自身の復帰を祝った。PB社は、PT政権下で起きた国内の石油・ガス部門の汚職撲滅を約束した「ラヴァ・ジャット作戦(LJ)」の主な標的となった。だが、この作戦はブラジル経済に甚大な損害を与え、各部門の再建という課題を残した。
 ルーラ大統領は、「PBの労働者がレストランやバールに入る時に『泥棒』呼ばわりされるというニュースを聞き、落ち込み、涙を流したことがどれほどあったことか。PB関係者は全て泥棒だというイメージを作り上げられてしまった。PBの偉大さを支えたのは、その労働者たちだったのにだ」と述べた。
 LJは2014年に、洗車業者が関与する資金洗浄事件の捜査から始まったが、次第に規模が拡大し、広範な汚職スキャンダルに発展。PBの幹部たちが契約を受注するために企業から賄賂を受け取っていたことが明らかになり、この汚職スキャンダルはPBの企業価値に深刻な影響を与え、経済的な損失や信頼の失墜を招いた。また、PBの幹部や政治家が逮捕され、企業の経営にも大きな混乱が生じ、政治的な議論を呼び起こした。


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