シティバンク=第2Qの成長率予測下方修正=インフレ見通しは引き上げ

シティバンク・ブラジルが第2四半期(Q)の国内総生産(GDP)の成長率が0・5%に鈍化するとの見通しを示し、インフレリスクとして為替圧力やサービス価格上昇を指摘した。また、2024年の広範囲消費者物価指数(IPCA)の予測を4・4%、25年を3・8%に引き上げたと、21日付ヴァロール紙(1)が報じた。
同行のチーフ・エコノミスト、レオナルド・ポルト氏は、2週間後に発表されるブラジルの第2QのGDP実績は、金融政策の方向性を決定する上で「極めて重要」だと言う。
同氏は、「経済が非常に好調なのは間違いないが、時速200キロと時速100キロで走行する車は別物だ」と語る。
1〜3月よりも4〜6月の方が経済活動が前進すると予測するエコノミストが出始める中、同氏は成長が鈍化すると見ている。同氏によれば、この動きは先週発表された中銀の経済活動指数(IBC―Br)とも関連しているという。同指数はGDPの先読み指数で、第2Qの経済活動は1・1%伸びたとされたが、第1QのGDPは0・8%の成長だった。
同氏は「我々は、小売売上高、サービス、建設などの月次の個別指標を基に予測を行っているが、第2Qは製造業を除く全ての指標が鈍化した」とし、第2QのGDP成長率は0・5%に減速するとの見解を示した。
第1Qのような農業による「一時的な押し上げ」がなく、リオ・グランデ・ド・スル州大水害の影響による「一時的なブレーキ」があったことを考慮すれば、この程度の成長でも「非常に堅調」であろうと彼は考えている。「だが、1%には達していない」とし、それが中銀には重要と付け加えた。
同氏によると、インフレに関する状況の悪化は間違いない。これは、サービス価格の下落が難しいことや、為替レートの圧力が商業品目に影響を与えているなどのリスクが「より顕在化している」ためだという。
為替レートは1ドル=5・50レ弱と依然としてレアル安のままだが、7月の中銀通貨政策委員会(Copom)の最終会合での5・55レよりはレアル高になったと指摘。為替レートがさらにレアル高に振れて24年末に5・35レに終わる可能性があると予測している。さらに、中銀の現在の重要な視野である25年のインフレ期待はこの2週間で低下しているとし、「国際情勢はまだ多くの不確実性があるが、若干改善された」と述べた。
これらの要素に第2Qの活動鈍化が加われば、Copomが9月の会合での経済基本金利(Selic)引き上げを見送る理由になるとし、「中銀は状況が悪化していることを示すため、このような仕事をしている。まるで、このままでは利上げせざるを得ないと言わんばかりだ。問題は現状維持か否かだが、もはや以前とは異なっている。市場は中銀が9月にSelicを引き上げるのは確実と見ているが、そうは思えない。中銀が今後の方向を決定するためにデータを確認したいと示すのは正しい」と述べた。
同氏は、金利が再び上昇する可能性は「無視できない」としつつ、財政や金融のアンカーがもはや「最悪」ではないとも指摘。「財政は少し改善しており、GDPが増加する可能性や政府による150億レの削減/凍結が影響している。金融面では、中銀による組織的で足並みをそろえた取り組みが見られる」と説明した。ブラジルの資産価格は他の新興市場と比べると依然として低いが、少し改善しているという。
同行は以前から、Selicが10・5%で据え置かれると予測しており、中長期的には一桁台を維持することは困難だとも考えている。「インフレの重要な要素はサービス業であり、これは低下しないだろう。また、Selicが需要と供給を一致させるのに十分かどうかという正当な議論が存在する。昨年後半は停滞していた経済が、今年第1Qには0・8%成長し、第2Qには再び強い成長することをどう説明するのか」と疑問を呈した。
彼にとって財政政策は重要だが、それだけでは経済の動きを説明するには不十分だ。特に、サービス部門の成長が商業部門よりも速いことを考慮すると、5%未満の均衡実質金利(経済を収縮も加速もさせない中立的な金利)は「妥当ではない」と評価。中銀ではこの金利を4・75%、市場関係者は約5%と見ているが、同行は潜在的には6%近くになる可能性があるとしている。
「ブラジルでは2桁の金利が例外ではなく、むしろ標準であるようだ」と同氏は述べた。