ベネズエラ 国会議長=ブラジル引き合いに出し正当性主張=最高裁の現職当選確認受け

南米ベネズエラの国会議長ジョルジ・ロドリゲス氏は、同国最高裁(TSJ)がニコラス・マドゥーロ氏の再選を確認する決定を下したことの正当性を主張するため、ブラジルを引き合いに出した。ロドリゲス氏は、大統領選の結果はブラジル同様に上級裁判所によって確認されたと述べ、セルソ・アモリン大統領付外交問題特別顧問に注意を促した。ブラジルはベネズエラの選挙結果を認めておらず、開票結果の公開を要求しているが、結果は公開されていない上、最高裁が公開を禁じる事態まで起きている。22日付G1サイト(1)が報じた。
ロドリゲス氏はマドゥーロ氏の盟友で、「TSJの判決が有効なのは我が国だけでなく、ブラジル、メキシコ、米国、世界中で共通であることを強調することが重要だ。TSJは最高の司法権を有している」と述べたが、ブラジルの名前を挙げた際は、皮肉を込め、「セルソ・アモリン氏、聞いてます?」とのコメントまでつけた。
同様の声明は、最高裁のカリスリア・ロドリゲス長官も発表した。最高裁は司法におけるチャビスモの一部門とみなされており、この判決により、選挙から25日後に中央選挙委員会(CNE)が発表した、マドゥーロ氏が野党候補エドムンド・ゴンサレス氏を抑えて勝利したと宣言した内容を支持した。CNEは同国の選挙司法制度に相当し、やはり、マドゥーロ氏の盟友の指揮下にある。
TSJとCNEは昨年8月22日、国連人権理事会から、マドゥーロ政権に依存し、偏向している非独立的な機関と見なされた。ロドリゲス氏の発言は、2022年のブラジル大統領選における最高裁や選挙高裁の役割を引き合いに出しているが、ブラジルでは国際的な監視者によって選挙が検証されたのに対し、ベネズエラでは選挙の整合性に疑問が呈されている。
米国のNPO法人「カーター・センター」は、ベネズエラの選挙が「国際的な整合性基準を満たさず、民主的とは言えない」と評価し、選挙当局が「明らかに偏向している」と指摘した。
ブラジルの選挙では連邦会計検査院(TCU)や米州機構(OEA、英表記OAS)のミッションもブラジルの選挙の合法性を認めたが、ベネズエラの選挙ではOEAもCNEの発表の整合性を認めておらず、開票結果の公開を要求している。
TSJの判決は7月28日の投票に関する監査疑惑を経て下されたが、同国の野党はTSJが公表した結果も認めず、独自の並行集計に基づくと、ゴンサレス氏が勝者であると主張し続けている。同国で選挙を監視した国連観察団も、野党の発表に安全性があると認めている。
TSJの決定はCNEが発表したマドゥーロ氏の勝利を確認するもので、「取り消し不能」とした上で、開票結果の公開も禁止した。
ゴンサレス氏とマリア・コリーナ・マチャード氏に率いられる野党と国際社会は、同国の諸機関はマドゥーロ氏寄りであり、TSJの決定は信頼できないと考えている。
国際的な圧力も高まっており、30人の元国家元首が米国のバイデン大統領に宛てた手紙で、マドゥーロ氏が権力を維持するために時間稼ぎをしているとし、新たな選挙の提案を拒否した。
新たな選挙の提案はルーラ大統領がアモリン氏の提案を受けて行ったもので、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領も支持したが、バイデン大統領はその提案に対して理解や評価を持っておらず、適切な反応を示すことができなかったとされている。ベネズエラでは与野党双方がこの提案に強い拒否感を示していたが、国会議長の発言はこの提案を揶揄したものと言えそうだ。
OEAは、ベネズエラに選挙結果を公表するよう求める決議を採択し、米国、欧州連合(EU)など21カ国からなるグループは、CNEに選挙結果を公表するよう求める共同声明を発表した。南米諸国もマドゥーロ氏の再選を否定しており、ルーラ氏にも態度を明確にするよう圧力をかけている。