森林大火災=アマゾナス州が緊急事態宣言=数日でサンパウロ州にも煙煤が到達か

【既報関連】27日付G1サイト(1)によると、熱波と寒波が交互に現れて、全国的に干ばつや火災発生のリスクが高まっているが、例年よりも早い時期から河川の水位低下などが報告され、昨年以上の干ばつと予想されていたアマゾナス州が、28日に干ばつと火災故の緊急事態を宣言した(26日付G1サイトなど(2)(3)(4)(5)参照)。
7月22日付アジェンシア・ブラジルなど(6)(7)によると、同州は7月に森林火災故の緊急事態を宣言しており、干ばつに関しても21市が緊急事態を宣言していたが、28日に開催された干ばつ対策委員会で、州内全62市が対象の環境と公衆衛生上の緊急事態が宣言された。
同州では、川の水位低下に伴う交通と物資輸送の問題や、川沿いの住民を中心とする食料や飲料水、医薬品などの確保などが問題視されていたが、基礎衛生上のリスクの高まりや医療や保健関連施設へのアクセス上の問題などで、全州が公衆衛生上の緊急事態にあるとの認識が広がった。
同州防災局によると、27日現在で干ばつの影響を受けている人は30万人以上で、エンヴィラ市に医療機関での必要に応えるための酸素製造所を設置するなどの対策も導入。カヌタマ市には病院向けの酸素ボンベ15本が、フォンテ・ボア市には医薬品や医療資材が送られた。
干ばつ対策委員会では、6月から27日までに確認された出火地点は1万879に上ることや、州環境局とアマゾン経済社会環境開発庁との間の合意により、100万レアルを前倒しし、消防士85人を早期雇用することも確認された。
28日付メトロポレス(8)(9)によれば、国立宇宙研究所(Inpe)が確認した今年に入ってからの同州を含むアマゾン地域の森林火災地点は27日までで5万3976カ所に上り、2万8787カ所だった昨年同期より81%多い。8月のアマゾン地域での火災地点は2万8697カ所だ。
アマゾン地域の火災の激しさは28日11時に作成された一酸化炭素濃度マップでも明らかだ。コペルニクス衛星がとらえた映像では、ボリビアとロンドニア州、アマゾナス州、麻州に及ぶ大規模な火災地域が明示されており、アラゴアス連邦大学衛星画像解析処理研究所のウンベルト・バルボーザ氏が、「アマゾン南部は文字通り燃えている」と評価した。
火災の範囲は縦500キロ、横400キロに及んでおり、アンデス山脈を下る低層空気のジェット気流により、今後数日間は気温がさらに上昇する見込みだ。
このマップで確認できる火災による煙は数日中に南東部にも及び、全国的な少雨干ばつによる異常乾燥に、煤などによる大気汚染が加わることになる。
Inpeは28日に8月の火災状況はアマゾナス州を含む少なくとも16の連邦自治体で最悪と発表。ユニセフ(国際児童基金)は同日、子供や青少年は火災の影響をより強く受けるため、煙や大気汚染が激しい時は屋外での活動を避けることや、教室には水を置き、湿度を保つこと、果物や軽めの食事を摂ること、マスクを着用し、水分を十分に摂ることなどを勧告した(28日付アジェンシア・ブラジル(10)参照)。