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異常気象がインフレ圧力に=生産物収量減で価格高騰へ

2024年9月5日

44年間で最悪の干ばつで食品価格が上昇と報じる8月31日付G1サイトの記事の一部
44年間で最悪の干ばつで食品価格が上昇と報じる8月31日付G1サイトの記事の一部

 【既報関連】全国自然・災害・監視警報センター(Cemaden)が、44年間で最悪の干ばつで、肉やフェイジョンなどの食品価格が上昇するとの見通しを発表したと8月31日付G1サイト(1)が報じた。干ばつは12カ月に及び、その影響は農業にも出ているという。
 同センター干ばつ監視担当のアナ・パウラ・クーニャ氏によると、雨不足による損失は灌漑システムを持たない小規模生産者中心に出ているという。伯国で灌漑システムがある農地は約13%で、大半は輸出に重点を置く大規模生産者の所有地だ。他方、国民の食卓に届く食料生産の7割は家族農達が担っている。
 干ばつが火災蔓延を招くことは、全国での火災急増を見ても明らかだ。8月末に起きたサンパウロ州内陸部の大規模火災では、サトウキビ畑や養蜂場、牧草地などが大きな被害を受けた。
 この時期は大半の農産物が端境期にあるが、放牧牛やフェイジョン豆、オレンジなどは干ばつの影響が顕著だという。
 干ばつの影響が出ているフェイジョンは国内消費量が最も多いカリオカ種で、ブラジル豆類研究所のマルセロ・ルデルス所長によると、過去10回の収穫中、約8回で損害が出た。豆の生育期間は約70日間で、雨が降らない期間が短くても、適当な時期に雨が降らないと粒が成長しないなどの影響が出る。干ばつは、コナジラミと呼ばれる害虫が媒介するウイルス性疾患のゴールデンモザイクの蔓延も招きやすいという。
 パラナ州やサンタカタリーナ州、ミナス州、サンパウロ州などで4~7月に収穫するサフリーニャ(2期目の収穫)では、約15%が干ばつの被害を受けた。ミナス州やゴイアス州、バイア州、マット・グロッソ州で8~9月に収穫する第3期の収穫でも収量が約11%減っている。収量減は価格にも影響し、年末時点の豆の価格は約40%高くなる見込みだ。
 放牧牛も、雨不足で牧草が育たず、牧草地が荒れると牛が太れず、市場に供給される肉の量や質、価格に影響する。また、火災で牧草地や牛が直接的な被害を受ける場合もある。
 牛舎で飼料を与えて育てる場合も高温などの影響は不可避だ。また、輸出が増加傾向にある時は国内消費向けの肉の供給量が減り、値上がりする傾向がある。
 オレンジも干ばつの影響が顕著で、干ばつと高温、グリーニングと呼ばれる病気で収量が減り、21年末以降、オレンジとオレンジジュースの価格高騰が目立つ。価格高騰を示す例は7月の広範囲消費者物価指数(IPCA)で、オレンジ等の果物ジュースの価格は昨年同月比で7・46%上昇。生の実も、ペラ種が41・12%、バイア種が43・5%、リマ種が40・79%高騰している。
 8月31日付アジェンシア・ブラジル(2)によると、サトウキビの収量は10年間で最大20%減る見込みだ。サトウキビの収量減は製糖、燃料用エタノール、バイオ燃料の各部門に影響を与える。
 パウロ・ピシェッチ中銀国際問題・企業リスク担当理事も2日、リオ・グランデ・ド・スル州大水害などの異常気象はインフレ上昇圧力となり、経済活動を抑制する傾向があると上院で発言。北部や北東部の雨不足がエネルギー価格上昇を招き、経済活動に悪影響を与える可能性への懸念も示した(2日付G1サイト(3)参照)。

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